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枕が5個 ページ5

妊婦の女性に席を変わった彼女は、礼を言われて少し嬉しそうにしながら妊婦の前ではなく僕の前に立った。

旦那であろう男性が女性の前に立ったからだけど。



(…やっぱり親切だね)



毎日僕に枕にされているのに初めからされるがままだった彼女。
そういうところも、今みたいに譲るところも、彼女の優しい性格が感じられて

なんだか、いいな、って。



まぁ僕はいつもそれに甘えているわけだけど。



そんなことを思いながら、いつもは横に座っていて、まともに顔も見たことがなかった彼女の顔を見る。



かわいい。



初めてしっかりまた彼女の顔は、想像していたよりもずっと可愛くて、


そんな僕の視線に気づいた彼女は、見られているのが恥ずかしかったのか、はみかみながら笑顔を向けてくれた。



(うわ......)



なんか途端に恥ずかしくなってさりげなく視線をズラす。

心臓が早い。

僕らしくもない。






「座る?」

車内は混んでいるわけではないけど空いている席はない。

何となく彼女が立っているのに自分が座っているのに違和感を感じてそう声をかけた。

「ううん、寝てたし疲れてるんでしょ?それにもうすぐ着くから」

「え?…あぁ...」



言われてみれば、次は僕が降りる駅。

だから座ってていいよって言ってるみたいだけど、女の子なんだから座ればいいのに。

僕は席を立った。

まだ少し立つには早いけれど、僕の胸あたりまでしかない小さな彼女の横を通りすぎる。

そのときに彼女の手を引いて、僕が座っていたところに座らせた。



「え!?」

「ふっ、なに驚いてんの」


手を引くときに握った彼女の小さな手を、少しだけぎゅっと力を入れて、離した。


「あ、ありがとう…」

「どういたしまして」


無意識か、彼女が僕の握った方の手をもう片方で触れる。

触られたのが嫌って感じじゃなくて、むしろドキドキしてくれてるんだろうなって顔をしてて。

僕も心臓がちょっとうるさくて。



なんだか今日は降りるのが少し名残惜しい。

電車が止まり、ドアが開いた。


「…また明日。じゃあね」

「!、じゃあね…!」


そう返してくれた。








今日、始めて彼女と会話をした。

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設定タグ:ハイキュー , 月島蛍   
作品ジャンル:恋愛
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レンレン - めっちゃ良かったです! 私もあんな恋してみたい笑 (2018年1月4日 23時) (レス) id: 85ddf4b118 (このIDを非表示/違反報告)
UNO - 月島君めっちゃ格好いい!しかも可愛い! (2015年8月15日 11時) (レス) id: e7cf931261 (このIDを非表示/違反報告)
凪奈(プロフ) - やばいいいいい!ツッキーかっこよすぎ!アルマジロウさん天才すぎです! (2015年1月7日 17時) (レス) id: acad482a4b (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロウ(プロフ) - 桜並木さん» お待たせしました!更新がんばります!まず前のやつ直してからだけど笑 (2015年1月7日 16時) (レス) id: 9158ed522c (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロウ(プロフ) - リーゲールーさん» 遅くなってすいません!コメントありがとうございます! (2015年1月7日 7時) (レス) id: 9158ed522c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スダ x他1人 | 作成日時:2014年11月24日 7時

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