枕が......30個 ページ30
彼女を視界に入れた僕は直ぐ様彼女に近づく。
会えて嬉しいけど、
嬉しくてたまらないけど、
彼女を待たしてしまった、という気持ちが勝る。
「一ノ瀬…!」
「あ、月島くん。お疲れ様」
「僕、行けなくなったってラインしたよね?!」
「うん、だから帰ろうと思って電車には乗ったんだけど、ここで降りちゃった」
「はあ?バカなの?僕がいつ来るのかもわからないのに」
「...あ、そうだよね、ごめん」
アハハと眉を下げて笑う彼女に、僕は言いすぎたと気がつく。
僕だって会えて嬉しいんだ。
こんな攻めるような言い方をするつもりじゃなかったのに。
「ごめん、言いすぎた。待っててくれてありがと」
「ううん、気を遣わせちゃってごめんね」
「そんなことないから…ほら、帰ろ?」
彼女の手を取り電車に乗ろうとする。
が、彼女は動かない。
「月島くん、あのね」
彼女が繋いでいる僕の手に、ぎゅっと力を入れた。
「…なに?」
.
.
「......好き......」
「え…」
息が止まりそうになった。
一泊遅れて心臓が壊れてしまうのではないかというくらいの勢いで動きだす。
「っ、…好き、すき…」
「え、ちょっ…っ!」
歯止めが聞かなくなったのか、その言葉を何度も繰り返す彼女。
聞いている方としては、こんなのたまったもんじゃない。
「ちょっと黙って」
「ん...」
彼女の顔にベシッと手を当てる。
もうちょっと違う止め方もあっただろうと思うが、今の僕にそんな余裕はない。
「何で先に言っちゃうかなもう」
「好き」
「だから黙って」
「......」
「ああ!泣かないでよ!!」
繋いでいない方の手で彼女の涙を拭う。
ごめんどうしても会いたくて、そう言って目をこすって涙で顔をぐちゃぐちゃにした君が
可愛くて
いとおしくて
いとおしくて
「ちょっと待って。心の準備させて」
「…?」
深呼吸をする。
ああ、ダメだ。
人生初の告白は簡単なもんじゃない。
彼女と繋いでいる手を引っ張る。
彼女はその力に身を任せて僕の胸にポスッと埋まった。
ぎゅっと抱き寄せた小さな体。
僕の顔が絶対見えないようにして。
.
彼女の耳元に口を寄せる。
「僕も好きだよ」
.
彼女の息を呑むような音が聞こえて。
僕は心臓が痛いのをまぎらわすように彼女を力強く抱き締めた。
.
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
Fin
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レンレン - めっちゃ良かったです! 私もあんな恋してみたい笑 (2018年1月4日 23時) (レス) id: 85ddf4b118 (このIDを非表示/違反報告)
UNO - 月島君めっちゃ格好いい!しかも可愛い! (2015年8月15日 11時) (レス) id: e7cf931261 (このIDを非表示/違反報告)
凪奈(プロフ) - やばいいいいい!ツッキーかっこよすぎ!アルマジロウさん天才すぎです! (2015年1月7日 17時) (レス) id: acad482a4b (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロウ(プロフ) - 桜並木さん» お待たせしました!更新がんばります!まず前のやつ直してからだけど笑 (2015年1月7日 16時) (レス) id: 9158ed522c (このIDを非表示/違反報告)
アルマジロウ(プロフ) - リーゲールーさん» 遅くなってすいません!コメントありがとうございます! (2015年1月7日 7時) (レス) id: 9158ed522c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スダ x他1人 | 作成日時:2014年11月24日 7時