僕の枕な君 【月島蛍】

枕が１１個 ページ11

自覚したのはつい最近のこと。



彼女のことを

可愛い、って思ったり。
会いたいって思ったり。


僕もそんなに鈍くないからさ。
こんなこと初めてだけど。



ああ、好きだな。

って。



でも変なことを言うようだけど、初めから彼女には惹かれていたのだと思う。

それくらい最初から彼女の隣は居心地が良くて、ちょっとした仕草に可愛いな、なんてらしくもなく思って。

何となく隣にいてほしいな、なんて、そんなふうに思える女の子。


「月島君」


そうやって彼女から名前を呼ばれるだけで、心臓がちょっと痛い。

今まで自分のことを淡白だと思っていたのに、案外僕は単純で男だった。

遅刻覚悟で電車に飛び戻るだなんて、好きな子にはこんなことまでしてしまう。



「もう３つも駅過ぎているけど大丈夫なの？」

「大丈夫じゃないけど...」


下から心配そうに見上げてくる彼女に僕は口ごもる。
しょうがない、次で降りよう。

名残惜しかった僕は無性に彼女に触れたくて、彼女の耳にそっと髪の毛をかけた。

そのまま、彼女の耳をちょっと触る。

「っ…」


ビクリと、彼女は反射的に肩をすくめて。

すぐに頬を真っ赤に染めると、手で耳を覆った。

そして動揺と恥ずかしさの混ざった顔で僕を見上げる。指の隙間から覗く耳が頬以上に真っ赤に染まってて、ちょっとゾクゾクする。


(あー、かわい)


好きな子にそんな反応されたら、もっと離れがたくなっちゃうじゃん。

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