¦ ページ41
▶
俺はすっかり疲れたので、ベットの中で居眠りしていた。
「 別に。 」
「 ナナカちゃん、辞めちゃったね。デビューして、9ヶ月も経ってないのに。可哀想。 」
「 それにしても、下品な記事やったな。あれ、ほんまにAが書いたん？ 」
ベットの上に座ったAは、その大きな瞳で俺を捉える。化粧で不細工は加工出来るが、素の容姿の良さ程、武器になる物はない。流石、ハニートラップがお得意のA。
「 私が書いたのは上司に消されて、書き加えられちゃった。 」
「 Aは賢いんやから、その賢さ使って、もっとええ記事書けばええのに。 」
「 私だって、色んな記事を書きたいよ。本当は芸能じゃなくて、刑事事件を取り扱いたいのに。若い女には任せてくれないんだよな、大事な事は。 」
馬乗りになったAが、悪戯っ子の様に頬を緩ませる。そのまま覆い被さって来てキスをした。アイドルと記者が繋がる事は、あまり望まれる事ではない。だが、繋がった方が良い事がある。まず、こうして良い女を問答無用で抱ける事。
「 ロボロ君が撮られちゃったらどうしよう。流石に私、揉み消しは出来ないよ？ 」
「 大丈夫。俺は絶対に撮られないから。 」
そして、メディアに対して恩を売る事が出来る事。ナナカのスキャンダルを売ったのは俺だ。アイヒヘルンフェンを潰したかった訳では無い。ただ、仲間でもない人間に慈悲を見せる必要もない。我ながら、あの写真は上手く撮れたと思った。社長の話を聞くに、俺の犯行だとは気付いていなさそうだった。
「 まあ、ロボロ君は他の出版社にも女の子を抱えてるもんね。 」
「 そんな事ないよ。俺の女の子は、Aだけ。 」
「 私と一緒に居るのも撮られたら、困るのはロボロ君なのに。誰か撮ってくれないかなー。 」
「 どうしてそんな事、言うん？俺のスキャンダルが報じられれば、俺は100%アイドルを辞めるしかなくなる。そうなると、エミさんと繋がれないのは誰なんやろね。 」
Aはエミさん目当てで、俺に近付いて来た。エミさんのスキャンダルを狙いたいからじゃない。エミさんと個人的な繋がりを持ち、あわよくばそれ以上の関係になる為。元々、Aがエミさんのファンである事は嗅ぎ取っていた。
「 そう言えば、今度ご飯行くん？ 」
「 そう、連れてって貰うの。 」
▶
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
