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面白い。そう言う芸なんだよね、きっと。
「 あ、来てくれたんだ。来ないと思ってた。 」
お色直しをして、真っ赤なドレスと薔薇に包まれた鈴名は私の方に来ると笑顔を消した。昔から人前では愛想が良い癖に、私の前になると人の心を失った怪物みたいになる。
「 一応。後悔したくないから。 」
もう、後悔しないと誓った。鈴名から結婚式の招待状が来た時に、決めたのだ。絶対に、次は無いと。
「 あ、そう。ひとり？ 」
「 うん。 」
「 分かった。楽しんで。 」
「 トントンさんは？ 」
「 彼処。 」
「 ホントだ。人気者だね。 」
「 写真撮らなかった事、後悔してるの？ 」
鈴名はその冷たい視線を私に忍ばせる。安いドレスを身に付けているのがバレバレな様だ。「 私の晴れ舞台にどうしてそんな安いドレス着てるの？ 」と言われそうだな。
「 誰と？ 」
「 遊太君。あの時。修学旅行の時。悩んでたでしょ、A。 」
「 後悔してないよ、別に。さっき、思い出したもん。鈴名の手紙を聞いてて、あの時の人かーって。 」
「 嘘吐け。遊太君の事、忘れられなくて大学は熊本の大学に行ったじゃん。それで、ちゃっかり自分は今、バスガイドだし。 」
「 私だけじゃなくて、鈴名だってバスガイドでしょ。 」
「 撮ってあげようか？写真。 」
「 何言ってんの？人の旦那とツーショットは流石にキツイ。 」
「 じゃあ、何で泣いてんの？ 」
自分の頬を伝う冷たい何かに気付いていたが、無視していた。鈴名の前で泣くなんて、一生の恥じゃない。
「 恨まないでよね、私が選ばれたんだから。 」
鈴名は憎たらしい赤色を散らかしながら、大学時代の旧友の元へと向かう。
恨んでなんかいない。ただ、少し悲しいだけ。もし、あの時私がトントンさんと一緒に写真を撮っていれば、今頃あの禍々しい赤色を身に着けていたのは、私だったのかな。たかが、子供の時の恋心だと大人は馬鹿にする。でも、その時生きていた感情は案外、一生になるかもしれない。
「 さあ、皆さん揃ったので出発しますよ。シートベルトは閉めたかな？バス酔いしそうな子は、酔い止めを飲んでおきましょう。エチケット袋は1座席にひとつあるので、確認して下さいね。では、出発します。 」
ゆっくりとバスが動き出す。制服を着た子供達のキラキラとした瞳を見るのが、この仕事の醍醐味だ。
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紗枝(プロフ) - ちびさん» こんばんわ。温かいコメント有難う御座います。本当に嬉しいです☺ " はくしき "とても思い入れのある作品です。そんな風に言って下さって、光栄に思います。これからも度々、覗きに来てくれると嬉しいです💐 (5月30日 3時) (
レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ちび - この短編集から貴方様の事を知りました。とても文が好きで文字の使い方が好きです。とくに「はくしき」が何か胸にもやっとくるような不思議な気持ちになりましたとても好きです😢✨これからも応援してます。 (5月29日 21時) (レス) id: b1c4d4a663 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - 大神さん» こんばんわ。通知に紛れてしまい、反応が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。お優しい言葉、言葉にならないくらい嬉しいです😊 これからも見守って下さると嬉しいです🥰🥰 (5月21日 22時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
大神(プロフ) - zmさんの小説を読んでから全ての作品を読ませて頂きました。どの作品も心に刺さりましたが、この短編集が特に好きです。こんなに自分好みの小説を書かれる方に初めて出会い、言葉にならないくらい好きです。これから応援しております。 (5月20日 12時) (レス) @page37 id: 48f5acd833 (このIDを非表示/違反報告)
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