63 : ひみつ ページ13
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でも、間違えた方向に進んでしまうのではないかと、不安にも思った。
自分を律しようと必死になっているだけで、本当は心の奥に秘めた弱さがある筈だ。
【 お疲れ様。突然ですまん。今日の撮影、参加出来る?トントンが体調不良で欠席するから、代わりに出て欲しい。 】
【 お疲れ様です。何時もの時間なら参加出来ます。宜しいですか? 】
【 問題無い。宜しく。 】
コネシマさんから連絡が来るのは、非常に珍しい事だ。
しかも、トントンさんが体調不良とは、更に珍しい事だ。
後数ヶ月で春がやって来ると言う割には、厳しい寒さが続いている。
春がやって来る気配が、微塵もしない。
もしかしたら、それで体調を崩したのだろう。
「 エミさん、突然すまんな。有難う。 」
「 いえ、お待たせしました。トントンさん、大丈夫ですかね。 」
「 さっき、鬱先生が連絡したら、熱は下がったって言うてたけど。明日、病院行くって。 」
「 結構、大変ですね。インフルエンザでしょうか。 」
「 どうなんやろな。おっさんだから免疫も下がってるし、風邪も引きやすいやろ。それじゃ、始めるか。 」
『 3月13日( 木曜日 )』
「 さて、どれ位の新人が入って来るでしょうか。 」
「 気付けば、そんな時期ですね。 」
奥河さんとエレベーターで同じになり、世間話をしていた。
職場に来る度に、自分が何時辞めるのか緊張してしまう。
出版社に未練がある訳ではないが、東京で暮らして、新しい仕事に就く事が出来るのか不安だった。
「 最近、お悩みですか?暗い顔をされてます。何かありました? 」
「 鋭いですね、奥河さん。何時も驚かされます。 」
「 そうでしょうか?でも、そうなのかもしれません。学生時代、良く褒められたのはこれだけ。それ以外は何も評価されませんでした。 」
「 そんな事はありません。奥河さんは、とてもコミュニケーション能力に長けていらっしゃる。 」
「 お褒め頂き光栄です。それで、何にお悩みで? 」
私は暫く息を飲んで考えた後、「 仕事を辞めようかと 」と打ち明けた。
「 仕事を辞める?どうして? 」
「 話すと長くなるのですが、彼とふたりで東京に行こうかと思っているんです。彼は、既に東京の物件に幾つか目処を付けています。私もこの間、東京に行って内見しました。どれも、素敵な家です。 」
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紗枝(プロフ) - 子羊さん» お早う御座います。子羊さん、ご無沙汰です😀コメント有難う御座います!皆様にパートナーシップ制度の理解が、浸透する事を願って書きました☺️今後の作品も楽しみにして頂けると、幸いです🫶 (1月24日 12時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
子羊(プロフ) - 秘密の恋人、完結おめでとうございます!パートナーシップ制度の事が詳しく知れて、とても面白くて勉強になる作品でした。次の作品も楽しみにしてます! (1月24日 2時) (レス) @page31 id: d689fcbe75 (このIDを非表示/違反報告)
紗枝(プロフ) - ゆず塩さん» こんばんわ。コメント有難う御座います!楽しんで頂けて幸いです🌟これからも是非、見守って頂けると幸いです😀 (1月23日 23時) (レス) id: ed8861063f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 完結お疲れ様でした!最初から最後まで本当に考えることができる作品でした。素晴らしい作品をありがとうございました!他の作品も楽しみにしています!! (1月23日 23時) (レス) @page31 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
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