【 wrwrd! 】ひみつの恋人【 em 】

61 : ひみつ ページ11

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　「 次は俺っすね。まずは、コネシマさん。おめでとう御座います。コネシマさんが結婚出来るなんて、明日は嵐でも来るんやないですか？それにしても、コネシマさんと結婚するって決めた奥さんも、凄いですね。後はチーノが俺の言いたい事を全て言ってくれるから、俺はもう平気やな。はい、チーノ。 」
　「 マジで止めろ。コネシマさん、おめでとう御座います。これからも宜しくお願いします。次の既婚者は誰になるんやろうな。楽しみです。俺かな？ 」
　
　
　トントンさんから順番にコネシマさんの結婚祝いメッセージを送り、久し振りに心の底から笑える様な時間を過ごした。
　ゾムさん・コネシマさんの結婚が去年・今年と続き、次は来年に何が起きるのだろうか。
　何が起きても、歳を重ねられる喜びを味わいたいと思った。
　
　
　『 1月16日( 木曜日 )』
　
　
　彼の父親が亡くなった。
　呼吸器感染症を引き起こしたと聞いた。
　次は、彼がひとりで帰れると言うので、私は和歌山県で彼を待つ事にした。
　父親の葬儀は、彼の伯父が全て計画してくれる事になったと言う。
　父親の葬儀に私は呼ばれなかった。
　それが、どんな意味を指すのか分からない。
　だが、確実に彼は少しづつ変わって行った。
　
　
　『 1月12日( 日曜日 )』
　
　
　「 東京でふたりで暮らしたい。パートナーシップ制度も、考えて欲しい。 」
　
　
　彼が思い詰めた様な表情で自宅にやって来たので、何事かと思って話を聞いた。
　私は心底驚き、言葉を失う。
　何故なら、今年の3月に彼は大学を卒業して4月から母校の教師になるのだ。
　それなのにも関わらず、東京でふたりで暮らしたいと言うのは、予想出来なかった。
　
　
　「 両親が死んで、ひとりになった。正確に言えば、ひとりじゃないけど、大切な人を失った。それで、思ったんだ。このままひとりで居ると言う事は、ひとりで死ぬって事でしょ？それだけは、絶対に嫌。ひとりで死にたくない。 」
　
　
　奥河さんの言葉を思い出した。
　ひとりで、死にたくない。
　彼も、同じ事を思っているのだろう。
　でも、今迄の彼からこの様な発言は聞いた事が無い。
　やはり、両親の死が彼に大きな影響を与え、変化を導いたのだと思う。
　そして、その震える手を握らない訳には、いかなかった。
　
　
　「 愛してます。伝わりますか？ 」


　彼の手を握り、何度も優しく撫でた。
　
　
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