【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳IX【男主】

無法地帯の中心 ページ8

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貴「っ、」



バッと目の前までものすごい勢いで迫ってきた彼は、僕の両手を勢いよく彼の両手で包んで、目の前…それこそ顔と顔の距離が拳2個分程度の距離で急ブレーキした。

彼に速さに遅れてついてくるようにフワッと風が吹く。勢いに気圧されて今回もやはり仰け反った。


はくはく、と口を開いては閉じてを繰り返している彼。口は忙しなく動くというのに瞬きは一切しない。
そろそろ彼の目乾燥して充血してくるんじゃ、なんて見当違いなところを心配していれば、彼は一度大きく息を吸って吐いた後こちらを向き直った。



山本「お付き合いしてください！！！」


貴「怖。」


黒尾「瞬間玉砕。」


田中「Aこっちこい！！」



唐突な告白に思わず素で引いてしまった。即席の四文字熟語を作った黒尾さんは、うわ俺うますぎ、と一人ブヒャブヒャ笑いながらツボにハマっている。

あの人笑い方どうなってんの、と突っ込めなかったのは、田中に後ろから服の襟を掴まれて引っ張られ首が締まったからである。ぐえ、と情けない声が漏れた。


力ずくに引っ張られた僕は、そのまま後ろに投げ捨てられる。ちょっと待って雑、という僕の悲鳴は、なんとか僕を受け止めてくれた東峰先輩の胸へ吸い込まれた。



田中「友よ落ち着け！！！天野は男だ、ついてる！！！なんならそこそこデカい！！！」


山本「デカいってなんだ！？胸の話か！！？」


田中「ばっかやろうお前っ、男についててたまるかよ！！そんなたわわなおっぱ」


木下「アーー！？アーー！！！」


山口「ストップストップ、田中さん！！全部アウト！！！」



いつのまに集まったのだろう、気がつけばかなりの人数がピロティーに押しかけてきており、先ほどの静かでのどかな雰囲気は明るい陽だまりの中へ消えていったようだ。

唯一の救いといえば、この場に数人常識人が何人かいたことだろう。ツッコミ役やP音担当よろしくノイズ担当が集まっていたため軽い放送事故で済みそうだ。……いや軽かろうが事故であるが。



貴「…東峰先輩、なんとかしてください。」


東峰「えぇ？そんな無茶な……。」



無茶なことは百も承知である。しかし可愛い後輩の頼みだ、少しくらいは体を張ってくれてもいい。

今この場を鎮めなければ、僕のなんかがいろいろ傷付けられる気がする。あれ、もしかして僕の人権存在してない？ここが本当の無法地帯か。

ふぅ、と息をついて悟りを開いた目をした。孤爪の同情の視線が痛かった。




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