【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳IX【男主】

たちまちのうちに ページ34

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影山「俺のトスじゃダメですか………。」


貴「そこまで言ってないんだけど…。」



柔らかく宙を舞った髪の毛が重力に逆らうことなくストンと元の位置に戻った頃、つぶやくような囁くようなボリュームでぼそりと影山が言った。

それにワンテンポ遅れて反応してから、慌てて首を振る。同時に手も振る。影山から放たれるあまりの威圧とそこに混じる少しの哀愁に、えっと、えっと、と吃ることしかできなかった。



菅原「ハイハーイ影山ストップストーーーッップ！！」


東峰「こわぁ、超怖いんですけどぉ！？無理無理怒るとすげぇ怖いじゃん！！」


西谷「旭さん俺の後ろに隠れんのやめてください、ダセェっすよ。」


東峰「」



そこに割って入ってきたのは頼れる三年……言いすぎた。
特別頼れるというわけでもないが菅原先輩である。いつもは火に油を喜んで注いでキャッキャ言っているような人だが、今回ばかりはありがたい。

影山の肩を後ろからガッと掴んだ菅原先輩は、そのまま僕から影山を離そうと後ろに引っ張り…引っ張り……。引っ張って特に動かなかったがとにかく引っ張った。影山体幹どうなってるの。最早銅像である、顔面恐ろしめの。

グイグイ押しても引いてもうんともすんとも言わない影山の背中にとうとう菅原先輩が平手打ちをかました。あの人度胸あるな。
ちょっとこっちこいと先輩は次に影山の耳を掴んで引っ張る。これには流石の影山も動くしかなく、いてぇと顔を眺めて引っ張られていった。


至近距離でその威圧を受けていたのは僕だというのに、女子のようにキャーと汚くも甲高い悲鳴をあげた東峰先輩は西谷の後ろに隠れる。

体格的に普通は逆だろうと、みんなの心の中が一致したと思う。ちなみにダセェと西谷に真顔で言われていた東峰先輩は相当なダメージを受けたらしく、胸あたりを抑えて背中を丸めた。…息をしていない。


上記の通り頼れない先輩がたに、ただひたすら足を抑えて悶え苦しむ日向、高笑いの月島、その他etc…。

たちまちのうちに阿鼻叫喚と地獄が出来上がり、烏養コーチが再度遠い目をした。眉間を揉んで肩を落としている。たしかにこのチームのコーチとかストレスしか溜まらないだろうが、なんとか頑張ってほしい。

僕も棒立ちでこの地獄を眺めていれば、左肩にポンと大きな手が乗る。振り返れば、一切表情のない澤村先輩がたっていた。



澤村「おいトラブルメーカー天野、問題起こすな。」


貴「僕が悪いですかこれ。」





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