気を引き締めて ページ11
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日向の勢いに圧倒されている孤爪に背を向けて烏野のみんなと合流する。友達はできたか、と、柔らかい笑みを浮かべた菅原先輩に迎えられた。
はい、と未だ緩み切っている表情筋のままそう頷く。
月島「へぇ、あの天野さんに他校のお友達。すごいですね、普段あんなにコミュ障極めてるのに。」
影山「うるせぇよ。」
貴「なんで影山がキレてんの。」
月島「セコムは呼んでないんだけど。」
ひょこっと顔を出した月島に悪態の一つや二つを返そうとしたが、それよりも先に影山が噛み付いた。どこから湧いた。
僕が引いた顔をしたと同時に、月島も僕以上にドン引きですという表情をする。彼の感情を変に取り繕ったりしないところは割と好きだ。それ故生意気と呼ばれるのだが。
なにかと馬が合わない彼らはそれだけでケンカの火種になったらしい。ばちばちと火花を散らしあった彼らを見てすぐさま危険を察知した僕は、ピュッとその場から逃げ出した。
澤村「次は負けません!」
黒尾「次
菅原.夜久「「怖い怖い怖いから!!」」
しかし逃げた先でも険悪なムードが広がっていた。
つい先程まで仲良く話していたじゃないか、と思わず突っ込みたくなるレベルの圧(笑顔)が放たれている空間に思わず眩暈がする。握手からギチギチとなかなかの音が鳴っているのだが、両者とも手の骨は無事だろうか。
と思っていれば、後ろからミリミリというこれまた苦しそうな音が聞こえてきて振り返る。音の正体は烏養監督と音駒の直井コーチの握手の音だった。こっちもか。
ひぃ、とどこもかしこも小さな不穏が漂っており悲鳴を漏らす。端の方で苦笑いを浮かべていた縁下と木下の隣に並んで気配を消した。
そのあと、音駒高校は流石に新幹線の時間がやばいと言って改めて別れの挨拶をしたあと大きく手を振って帰っていった。田中が最後まで号泣していたが、彼は仲良くなりすぎだ。
僕らも烏野高校を目指して、集団で固まって動く。人の波に飲まれると言えるほど部員は多くないが、なんせ無駄にデカい奴らばかりなので場所を取るのだ。
前を歩く東峰先輩の靴の踵を踏まないよう気をつけて歩いていれば、後ろを歩いていた日向に靴を思いっきり踏まれて思わずつんのめった。勿論すぐに謝られたが。
反応からしてわざとではないことはなわかるが、にしても豪快に踏みすぎである。靴が踵まで脱げたが、トントンと地面につま先をついて履き直した。
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雨智よゐ(プロフ) - 由香さん» 応援ありがとうございます!こちらこそ、このような駄作をいつも呼んでくださりありがとうございます…。なかなか更新ができずご迷惑おかけしております、大変申し訳ございません…。これからも作品の方をご愛読してくだされば嬉しいです! (6月25日 16時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
由香(プロフ) - 忙しい中での更新ありがとうございます!体調など無理せずご自身のペースで頑張ってください!いつも楽しいお話ありがとうございます!これからも応援してます!! (6月20日 22時) (レス) @page50 id: b1fe3ea9c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - 玄狐さん» ということは3週目…!?読み返してくださりありがとうございます!これからも新しく筆を進めていこうと思いますので、応援よろしくお願いします! (6月18日 22時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
玄狐 - 久しぶりにまた読みましたが、一周目と二周目に劣らず面白いです!これからも更新頑張ってください!応援してます!! (6月17日 17時) (レス) id: bd7e9ab3a9 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - 玲さん» 6周目……????(宇宙猫) こんなに長くてダラダラしたお話をそんなに読み込んでくださるなんて……なんという幸せ……???お忙しい中お時間頂いております、いつもありがとうございます……。これからは更新頑張りますので、ご愛読くだされば嬉しい限りです!!!! (6月11日 23時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨智よゐ | 作成日時:2022年10月2日 0時