【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VII【男主】

同じ思考回路 ページ44

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………と思ったが。


なんと地面に着弾する寸前、西谷がボールの真下にフライングで入りパンケーキであげていた。流石、毎回毎回いい意味で期待を裏切るやつである。

しかもあれだけ不安定な体勢であげたと言うのに、ボールはほとんど影山の真上。反射神経だけじゃなく、一瞬のボールコントロールですら優れている。


自陣のメンバーも一瞬緩んだ気をすぐに取り直し、影山から放たれるトスに身構える。影山は今前衛、攻撃手段が多い。
ツーあるよツーあるよ、とネット越しに相手のツーアタックを牽制しながら冷静に頭を回す。


影山の思考はいつも複雑に見えて単純だ。すっかりセッターとして役に入った僕は、影山と同じ目線になってセッターとしてここなら誰にあげるか、と冷静に考える。

月島と澤村先輩はもちろん、先程のレシーブで体勢を少し崩した田中も準備万端だ。
影山の顔を盗み見る、視線は全く動かない。むしろスパイカーではなくブロッカーの位置を確認しているようにすら思える。
スパイカーを見なくても完璧なトスが放てるっていうんだから天才は困る。


しかし、僕がセッターなら。ふっ、と小さく息を吐き出して、そう考えた。


現在後衛ライトの澤村先輩はバックアタックが苦手だ。今日も練習で数本失敗しているのを見ていた。
月島は誰よりも高い打点から打ち下ろせるのが最大の長所だが、勢いはそうない。それに今日はそこそこ本数が多い。


となれば、レフトだろ。
バックアタックが打てるくせに今日の本数がそんなに目立っていない東峰先輩と、ワンプレー前でブロックアウトを起用に狙った田中。役者は揃っている。


ぶっちゃけ希望的観測、ほとんど賭けだ。まぁバレーってのは大部分そんなもの。

頭の中で考えをまとめた僕は、多少センターに寄ってブロックを構えた。あんなに完璧にブロッカーの位置を把握する影山だ。僕の位置、見えてるんでしょ。


影山のトスが上がる瞬間、僕はすぐにレフトへ詰めた。横目で確認すれば、しっかりとこちらへまっすぐ伸びてくる影山のトス。
はっ、と、思わず笑いがこぼれた。



貴「相性、抜群。」



影山、多分僕たち、いいコンビになれるよ。

僕の手によって相手コートに叩きつけられた田中のスパイクを見て、皮肉げにそう笑いかけた。




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