【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VII【男主】

扱いやすい少年 ページ40

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はーあ、と大袈裟に肩を落としながらネット際に立つ。少し向こうで、菅原先輩が可笑そうに笑っていた。早く戻ってきてください。

そんな念を込めて視線を送っていれば、ネットを挟んで向こう側に誰かが立つ気配。

いや、向こうチームのネット際に立つ人物なんて一人しかいないが。
面倒臭い未来が見え絶対に振り向かんと心に決めていたが、何度も名を呼ばれ挙句ネットの下から手を伸ばし僕のシャツをグイグイ引っ張ってくるものだから、呆れて自分より数センチ高い彼の顔を見上げた。



貴「… ペネトレーションフォールト、またはパッシングザセンターライン。」


影山「足がセンターライン越えてないので今の俺にその反則は取れません。」



流石バレー馬鹿、ルールについては徹底的に記憶しているらしい。反則をチラつかせてビビらせ手をひかせようと思ったが、基本的なことは理解しているようだ。馬鹿なのに馬鹿じゃない。
完璧な返答にため息を返しながら、こっちが折れて何だと問いかけた。



影山「負けません。」


貴「知ってる。」


田中「ブッ、」


西谷「影山、Aに闘争心を求めたらダメだ。」



即答した僕に田中が吹き出す。西谷のもっともなアドバイスに僕すら頷いた。

元々ただの穴埋め要員、競い合うつもりなんて一切ない。天才セッターと呼ばれる影山飛雄にセッターですらない僕が勝負を挑むとでも？そんなわけないだろう。


影山が僕の何に憧れているのか、僕に何を求めているのか。全くわからない、なんでこいつは僕をこんなに慕っているのか…。
セッターとして見習うなら菅原先輩を、と言いたいところだが、もう彼は既に見習っていることだろう


まぁどうせ穴埋め役だ、バタバタ本気で走って無駄に体力を消耗する必要も感じない。
来たボール適当にあげとけばいいか、と考えたその時。



菅原「天野〜、それ頑張ったら夜ポケットWi-Fi貸してやるべ〜！」



菅原先輩のその一言で、指先に熱が戻ってくる。次の瞬間沸々と湧き上がる、俄然のやる気。

そう、この一週間ほどゲームが全然できてないのだ。ゲーマーにはきつい、そろそろ指が震えてきてどうしようかと思っていた。


気がついた時には、菅原先輩の言葉に「任せてください」と力一杯頷いていた記憶がある。



西谷「見てみろ目キラッキラだ」


月島「天野さん割とチョロい人ですよね」





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