讃え合おう ページ21
殿堂入りありがとうございます！
.
ずっしりとした重みが指先に伝わった。自分の額近くで捉えたボールは思った以上の回転がかかっていて、指先の関節に嫌な痛みが走る。
貴「っ、！」
このまままともに拾ったら指が取れそうだ。せめて少しでもボールの勢いを殺そうと、ボールの勢いに身を預けるように重心を後ろに倒しながらオーバーで拾う。
ボッ、と久しぶりに自分の手から聞いた下手くそなオーバーの音。ボールをしっかりと包んで腕の筋肉全部を使い優しく押し出せば、そのボールが影山の方へ飛んでゆくのが見えた。
菅原「上がった…！！ナイス天野！！！」
山口「ひっ…ふっ…あまのせんぱい…ないすっ…。(瀕死)」
影山「っ…！！最高のボールｯ…！！」
しかし僕はそのあとボールの勢いに完全に押し切られてしまい倒れてしまう。ころんと後ろに一回転、慌てて顔を上げた時には、なんと驚くべきかラリーはすでに終わっていた。
青城のコートの一角に、日向が放ったボールが打ち付けられる。今までより一層強く一際早いボールが、及川の隣を打ち抜いた。
＿＿＿試合終了。
勝者、烏野高校。
及川「…へぇ……！！」
日向「…！！！」
貴「…勝負あり、だ。」
田中「ッシャアアァァ！！！」
極度の緊張から放たれて、思わず足の力が抜けた。へなへなと座り込めば、最高に嬉しそうに雄叫びを上げた田中が僕に飛びついて髪の毛をもみくちゃにする。
やめて、と田中の胸板を押して拒否する。なかなか引き離せなく困っていれば、澤村先輩に終了の声をかけられようやく散った。
「整列！礼！！」
「「「あざっしたーっ！」」」
エンドラインで頭を下げ、勝利の実感を噛み締める。25対23。終わってみれば、あっさりとしていた試合だった。
顔を上げれば、ネットの向こうに並んでいた一人の男と目が合う。彼は僕のことを一直線に眺めていて、僕もその目から視線が離せなくなった。
3秒ほど見つめ合って、この滞った状態を破ったのは向こうだった。
ふっと柔らかく笑って、優しい笑みを浮かべられる。やっぱり顔が整ってるなぁとそれを見つめていれば、次の瞬間にはあっかんべーをされた。…よくわからない人だ。
彼のサーブを拾った指先がビリビリと痛んだ。
それと同時に、あいつなら完全に上げただろうかと考える。綺麗なAパスを上げるあいつの姿なんて容易に想像できて、僕の負けず嫌いな心が騒いだ。
及川徹。次は完璧に上げてやる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1660人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨智よゐ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさんこそ、こんなご時世ですのでお体にお気をつけてお過ごしください！お気遣いありがとうございます！ (2022年6月14日 22時) (
レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 雨智よゐさん» 頑張ってください…！ただ、頑張りすぎて体調崩したりしないように頑張ってください(？) (2022年6月14日 6時) (レス) id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - ゆきさん» 暖かい応援コメントありがとうございます…！！これからも皆様のもとに面白さが届けれるよう頑張ります…。続編もよろしくお願いします！ (2022年6月14日 6時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - 玲さん» ありがとうございます〜！🎉こんなに長々と書いてしまっている作品を未だ読み続けてくださりありがとうございます…。玲さんこそ！体調にはお気をつけてお過ごしください！ (2022年6月14日 6時) (レス) @page49 id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも楽しみにしています！更新頑張ってください！！ (2022年6月14日 5時) (レス) @page50 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨智よゐ
| 作成日時：2022年4月23日 0時
