戻ってくる頃 ページ25
.
言いたいことはそれだけだったのだろう。言い終わった後にくるりとこちらに背を向け、歩き出そうとする及川。
しかし、日向がその背中に大声をかけた。
日向「〜っ、レ、レシーブなら練習するっ!!」
月島「!?」
月島の服を掴んで。
巻き込まれた月島はおい放せと騒いでいるが、日向は決して離さない。少し可哀想な月島に若干同情していれば、及川が足を止めて肩越しに振り返った。
及川「レシーブは一朝一夕で上達するモンじゃないよ。キャプテン君とちんちくりん君はわかってると思うけどね。」
ド正論である。チャラチャラしてるくせに言ってることは的をえているのだから厄介だ。
この返答では満足しなかった日向がむっと口角を下げるが、もう反論の言葉は口から出ない。
及川「大会までもう時間はない。どうするのか楽しみにしてるね。……あと、君も絶対潰すからね。Aチャン。」
愉快だと言わんばかりに笑った及川が、大きな足跡を立てながら去っていった。
最後に残した言葉の意味はよくわからないが、僕の名前を知っていたのに「ちんちくりん」と呼んでいたのかと思うと少し腹が立つ。
みんなも思い思いの感情を抱きながら彼の後ろ姿を見送っていれば、焦った様子の影山が僕たちに声をかけた。
影山「き、気にしないでください。あの人ああやって人引っ掻き回すの好きなだけなんです。」
その言葉を聞いて、「悪趣味だな」と改めて感じた。影山が言っていた「性格が悪い(月島以上)」という言葉を身に染みて感じる。なんだか、月島がだいぶ可愛く見えてくるレベルだ。
影山の言葉を聞いて沈黙数秒。次に言葉を発したのは澤村先輩だった。
澤村「ふふっ。」
それは低く低い声で。澤村先輩が怒っている時と同じようなやけに落ち着いた声色で、その笑い声は発せられた。
いきなりのブチギレモードにみんななら緊張が走る。「キャプテン!?」やら「大地さん!?」と声をかけるみんなの一歩後ろで彼を心配していれば、やがて澤村先輩は顔を上げた。
その顔はいつもより多少緊張感が滲んでいるようにも見えたが、それ以外は至って普通の笑顔だった。
確かにインターハイ予選まで時間はない、けど、
そう前置きをした澤村先輩。「けど」の後に続く言葉を待っていれば、澤村先輩はこちらに目くばせをした。
澤村「そろそろ戻ってくる頃なんだ。」
貴「…っあ。」
日向「?誰がですか?」
澤村「烏野の、守護神。」
.
1661人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨智よゐ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさんこそ、こんなご時世ですのでお体にお気をつけてお過ごしください!お気遣いありがとうございます! (2022年6月14日 22時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 雨智よゐさん» 頑張ってください…!ただ、頑張りすぎて体調崩したりしないように頑張ってください(?) (2022年6月14日 6時) (レス) id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - ゆきさん» 暖かい応援コメントありがとうございます…!!これからも皆様のもとに面白さが届けれるよう頑張ります…。続編もよろしくお願いします! (2022年6月14日 6時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - 玲さん» ありがとうございます〜!🎉こんなに長々と書いてしまっている作品を未だ読み続けてくださりありがとうございます…。玲さんこそ!体調にはお気をつけてお過ごしください! (2022年6月14日 6時) (レス) @page49 id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしています!更新頑張ってください!! (2022年6月14日 5時) (レス) @page50 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨智よゐ | 作成日時:2022年4月23日 0時