とある初夏の日のこと ページ45
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Aside
孤爪「っ……！！」
貴「うぉっ…！？」
目の前でやんややんや大声で騒ぎ出した二人に手で追い払うジェスチャーをしていれば、背もたれが急になくなった。
相手がこちらにかけてくる体重にこちらも合わせて同じ力で押し返していたのだ。しっかり重心を預けていたため、後ろにいた人が退いた途端、勿論僕は思いっきり後ろにひっくり返った。
あわてて腹筋を駆使してなんとか倒れないようにする。起き上がりだるまかのようにコロンと起き上がって後ろを振り返れば、琥珀色の瞳が大きく揺れていた。
これでもかというほど見開かれた目は飴細工を連想させるほど美しかった。肌は洗い立ての陶器のように白く滑らかで、グロスを塗っているのかと錯覚するほど透き通った桜色の唇がふるふると震えていた。
試合で乱れた髪の毛は手櫛で整えたようで、少しばかり絡まり跳ねている。しかしそこからだらしなさなどは微塵も感じられず、ただ織り込まれていく絹糸のような美しさだけがそこにあった。
お互いの目にお互いの視線が吸い込まれていくようだった。何十秒も経っているような気がする、いや本当はたった数秒しか経っていないのかもしれない。
快とも不快とも言えない、言葉も失うような、ただ僕たちだけが時間に置いていかれる空間がそこにあった。
僕は彼のことを知らない。そんなことなどは明白なのに、何故か自分に言い聞かせるように心の中で繰り返す自分がいた。脳はそれを理解しても、体がそれを拒んでいるような気がした。
彼の口が何かを言いかけて薄く開かれる。未だお互いの目から視線は離せなかった。
しかしその時。どこから吹き込んできたのだろう、段々と夏の香りを滲ませるようになった生ぬるい風が僕たちの間を吹き抜けた。
西谷「A？」
過ぎ去った風によって視界を邪魔するように踊った髪の毛が、ふわりとまた重力に従い動きを止める。そこでようやく2人きりの世界に音が戻ってきた。
貴「あ、あぁ、うん。」
早くいくぞ、と差し出された手を握って立ち上がり、ベンチの方へ足を向ける。その前にもう一度、肩越しに彼を振り返った。
彼も同じように向こうのチームの主将に声をかけられたらしい。彼の表情を盗み見る。
頬はほんのりと上気していて、眉は少し困ったように潜められていた。彼は口元を手で覆い隠している。
その指の間から見えた口角が抑えきれず上がっていたように見えたのは、おそらく気のせいではない。
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雨智よゐ(プロフ) - あままさん» 返信大変遅れてしまい申し訳ありません。支援絵のみの作品を作成してもいいのですが、分けてしまうとそちらのページをわざわざ開かなくてはいけないという一手間が増えてしまいます。せっかくいただいた支援絵は読者の皆様に見せびらかしたいのが本音です！！！(全力) (2023年3月30日 19時) (
レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
あまま(プロフ) - 頑張ってください応援してます!あと､思ったのですが支援絵と本編別の投稿にはしないのですか? (2022年11月18日 21時) (レス) @page16 id: 4346a5f7c3 (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - らっこ星人さん» わかりにくくて申し訳ありません…最後のページに記載している通り、パスワードは114514となっております！続編もよろしくお願いします！ (2022年10月2日 18時) (レス) @page50 id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ星人(プロフ) - すみません、続編を読みたいとですがパスワードがわからないです。もしよろしければパスワードを教えていただきたいです。 (2022年10月2日 7時) (レス) id: 60908efb0f (このIDを非表示/違反報告)
雨智よゐ(プロフ) - ただのバカですさん» 実際自分に小説更新を続けている意識があまりなく、漫画を読み返しているような気分で文字を綴っていますので、飽きる飽きないというのはあまり考えたことがありませんでした…。続編でもよろしくお願いします！！ (2022年9月27日 8時) (レス) id: 6395fe5fe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨智よゐ
| 作成日時：2022年8月14日 8時
