【HQ!!】千鳥山出身、烏野の脳VIII【男主】

大黒柱の代わり ページ31

.




タイムアウト明け。
僕らは今まで日向を中心に組み立てていたスパイクを変更し東峰先輩にトスを集めるようにして、日向のマークを薄くする作戦をとった。何事もまずは打てる喜びからだろう、じゃなきゃ心が折れかねない。



影山「作戦を大幅に変えたことをもっと顕著に出していきたいので、天野さんへのトスも増やします。」


貴「わかった。」



たしかにサーブの合間にそんな会話はしていたが、次のラリーではすぐに僕にトスが上がった。

まさかそんなすぐ行動に移すとは思わなくて少し驚いてしまったがしかし、それでも冷静な頭で孤爪の位置を狙いブロックをうまいこと避けながらプッシュで押し込む。



孤爪「っ、夜久くん！」


夜久「オーライ！」


山本「嫌なとこつくなァ…」



多少孤爪より前に勢いよく弾くようにプッシュを落とした為、彼は姿勢を前に倒しながらレシーブをする。崩せただけ万々歳だ。

リベロの夜久がボールを孤爪の代わりに上げ、レフトオープンのトスを託された山本がスパイクを打つ。



西谷「ッライ！！」


東峰「ナイスレシーブ！！」



それを西谷が完璧レシーブ、再び影山の手の中へ戻ってきたボールはブロード攻撃へと走っていた日向へ向かって飛んでいった。



日向「っ、！」



空中で上手に身を捻ってバランス感覚を保ちながら、トスに合わせて腕を振る。未だ不恰好なフォームで手のひらにミットしているかと聞かれたら全然そんなことないが、だんだんタイミングが合うようになってきた。

やはり体の使い方はセンスが光るな、と思わず感嘆する。襟を掴んで鼻頭の汗を拭いた。


その後も他のスパイカーが打つ合間に日向のスパイクが捩じ込まれるプレーを続けていたが、やはり見れば見るほどタイミングがあってゆく。最終的には手のひらにしっかりミットし、勢いよく打てるようにまで成長した。

しかしそのボールは惜しくもアウトとなってしまい、主審が両手をあげたのをみて少し肩を落とす。
その間も向こうのチームの犬岡が「すげぇ、すげぇ翔陽」と鼻息荒く体を小刻みに揺らしていた。



日向「……もう一回。」


影山「当たり前だ、何度でもやんぞ。」



そしてその次のラリー、再び日向にトスが上げられた。

先程までのスパイクでコツをある程度掴んでいたのだろう、そろそろ慢心してくる頃なんじゃないのかと多少警戒を強めながら日向の後ろ姿を見守っていた。





.

ナイス尻拭い→←飛び火を喰らう

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す