十四話「さよなら」 ページ14
「これまでよく頑張りました…とミサカはAに対して敬意を評します」
意図せず、生き返ったあの日から数ヶ月ほどの時が過ぎた。その間、ミサカ10032号の他にも色々なミサカと接し学び、これで一人でも立てるとAは自信がついていた。
これまで、全て他人がAを引っ張ってくれた、だから自分が何も考えて行動を決める必要はないとそう考えたAにとっては大きな第一歩を超える。
「ありがとう、とAはミサカ10032号に対して感謝の気持ちを吐露します」
「これから、私達は離れ離れになりますが繋がっています、とミサカ10777号は不安ながら気持ちを鼓舞させます」
「たしか、10777号はロシアだっけ……とAは寂しい気持ちを表現します」
妹達は、薬で無理やり成長を促したことで短命な寿命をさらに減らしているので、少しでもと今後各国に存在する研究所にて治療をするとのこと。なので、Aが学園都市を出るという本来なら許可されない事にもあっさりと許可を得た。
「……全く見送りくらいさせなさいよ」
そう言いながら、やって来たのは妹達と全く同じ容姿を持った少女だった。彼女の名前は御坂美琴……妹達は彼女のクローンなのだ。
「19090号や10039号、13577号などは学園都市に残ります、なので見送りなど不要です、とミサカはお姉様が来てくれたことに対して嬉しさを隠しつつ冷静に対応します」
「……はぁ、隠そうとしても隠し切れてないっての」
「……」
「で、あんたは何でうつむいてるのよ」
美琴はAの方を見る。16209号にとっては美琴は関係があるがAにとっては無関係だ。どう対応していいのか迷っているのだ。
「何か、軽く話は聞いたけど……それでもあんたは私の妹なんだから」
美琴はAのおでこをつつく。
「それに、ヒーローになるんでしょ。その為に髪を伸ばして……」
「はい。美琴さんには、迷惑かけたくないので、とAは髪を伸ばした理由を語ります」
「……あんたの顔から美琴さんって言われるとは思わなかった」
「……お姉様」
「……何だかそう言われた方がしっくりくる事に腹が立って来たわ…」
「A、そろそろ向かわないと試験に参加できなくなる可能性があります、とミサカは行動を促します」
「そうだった……ありがとう」
「これ、受験票……忘れてたわよ」
美琴から渡されたのは受験票だった。
「机に置き忘れてたぁぁー！？とAは驚きの心情をあらわにしますぅぅー！？」
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作者名：プディング | 作成日時：2020年4月15日 18時
