ずるいひと【inar】

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side.Daiki




コーヒーを片手に持ちながら、普段より少し早歩きで部署まで戻る。









「光くん、新しい人ってどの人？」









コト、とデスクにマグカップを置きながら光くんに問う。









周りを見渡しても新しい人、と言われる人は見当たらない。









知念の嘘なのかな。そんな事も思ったが知念に限ってそんな嘘つくはずないし。









「あぁ、部長に挨拶しに行ったよ」









トントン、とデスクの上で資料をまとめながら言う光くん。









あいさつしに行った。部長の話は案外長いからきっと挨拶だけじゃすまないだろう。









自分の席に着いてコーヒーを飲みながら作業を進めていると、「大ちゃん」って声が後ろから聞こえて反射的に振り返る。









「この書類今日中にまとめてくんねぇ？」









申し訳なさそうに書類を差し出してくる光くん。









光くんが自分の仕事人に頼むの珍しいなあ、そう思いながらいいよ、って返事をして書類を受け取る。









急に用事入っちゃってさ…とバツの悪そうな顔をして言うのはきっと相手が部長の薮さんだからであろう。









「きにしないで！俺がぱぱぱっと片付けてやりますよ！！！」







そう言うと光くんは安心した顔で「ありがとう」と呟く。








俺光くんのその顔好き！！なんて言葉は心の中にしまって作業に入る。

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