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ep.1 ページ3

〜Aside〜



銀行強盗に巻き込まれた、あの日から数日。私は、家で静かに過ごしていた。⋯⋯まぁ、あの後も見事に色々な災難に巻き込まれたので大人しく帰宅したのは言うまでもない。


だが、あの一件で私を助けたであろう命の恩人(?)である少年を見てもう一度再確認できた。この町⋯⋯米花町はやはり異質だ。何せ、外を出ればひったくり、バスジャック、銀行強盗、爆弾、殺人など物騒な事件がそこかしこで起きる。



私は、上層部にいるまぁご立派なお爺様方から命令を受けて米花町担当の術師になったが⋯⋯。毎回毎回、呪霊はもちろんのこと事件にも巻き込まれるとは想像もしていなかった。

元々、神代の本家がこの米花町にはあった。けれど、私もこの町には長く居るが事件に巻き込まれたことは数える程度だった。まぁ、巻き込まれることも本来は早々にないと思うが。



この米花町に住む人々は、よく事件に巻き込まれる。その原因が、この町に何かしらあるからだと私の祖父が良く話していた。それが、呪霊絡みか妖絡みかで言えば両方らしい。全く、面倒なことこの上ない。


それに、今や神代家の当主の座は私が引き継いでしまった。その為、この町に何かしらあれば私が対処しないといけない。⋯⋯やっぱり、当主は私の弟二人に継がせるべきだったか。

そう、少しの後悔を溜息とともに吐き出す。



だが、本当にこの町は歪というか異質というか⋯⋯。呪霊は他の県や町に比べたら、異常な数は湧き出る。妖も何かを感じ取って、この土地に移り居座るモノが多いのだ。


それが、何に惹かれてかは未だに分からない。ーーま、その原因究明の為に私たち神代家が居るわけだが。



そう考えながら、一つ背伸びをする。今家に居るのは、私と使用人だけだからか辺りはいつもより静まり返っている。両親は、今日は二人で米花町にあるデパートにショッピングデートをしに出ており、弟二人は朝早くから登庁して居ない。


⋯⋯ハッキリ言えば暇だ。だが、暇だからと高を括って外に出ればまず間違いなく何かに巻き込まれることは必然。それに、一々自分の姿を弄って出掛けるのは面倒で仕方がない。



だから、今日一日は家に籠って溜まっていた書類を片付けていたのだがそれも先程終わってしまった。さて、本当にどうするか。

そう、外を眺めながら思っていた時だった。机に置いておいた高専専用のスマホが静かに揺れた。⋯⋯とても嫌な予感がするのは、どうしてだろうか?

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作者名:千本桜 | 作成日時:2022年5月24日 16時

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