Prolog ページ2
〜??? side〜
ーー暖かな陽射し、咲きほころぶ桜、風によって散る花弁。
全て全て、鮮明に覚えている。この季節に私たちは出会い、そして別れた。あの時の痛みを、私は未だこの胸に抱いている。
警察学校にいた時は、よく教官に四人で怒られていた。色々な悪戯もしたし、かなり好き勝手にやっていたからな⋯⋯。
それに、教官や周りの人達からは゛お姫様゛を守る三人の゛騎士゛なんて柄にもないことも言われた。そこから、私のあだ名が一時期゛姫さん゛なんて呼ばれる始末であの時は四人で笑ったっけ。
警察学校を出た後は、各々自分の望んだ道を行った。寂しいか、と聞かれれば少しの寂しさはあったけれど長い時間一緒に居たからかどれだけ離れていても三人のことはよく分かっていた。
ーー私は、ある事件で殉職してしまった父のような立派な警察になりたい一心でひたすらに頑張ってきたのだ。それは、三人が理解してくれていたことの一つ。
私は、警察学校を出た後は本当はどこに行くかは皆目検討がつかなかった。何せ、自分で言うのもアレだが警察学校では主席であった為、引く手数多だったからな。
でも、そんな中でも私は゛公安゛という場所に惹かれた。普通の警察官よりも、ずっと危険で本当に死と隣り合わせの課だ。けれど、私は自分の意志でそこへ行きたいと思った。
そこからは、トントン拍子に話は進み私は公安への配属が決定した。その頃には、他の三人も配属先が決まっていた。
律と千暁は、警視庁刑事部捜査一課強行犯三係に。
伊織は、爆発物処理班に。
そして、私は警察庁警備局警備企画課に。
歩む道も違えど、私たちはまた会えると信じ己の道へと一歩踏み出した。
ーーそして、それが私たち四人が最後に笑い合った春の季節のことだった。
21人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:千本桜 | 作成日時:2022年5月17日 22時