え、私に聞かれても。【JK】

＊(IU side) ページ37

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｢アイユ先輩、っ｣





ノックもせず突然楽屋に入ってきたジョングク君。

こんなこと、前にも1度あったよね？

そう前のことじゃないはずなのに経過した時間を遠く感じる。


私と彼と、Aの関係。

大きく変化した繋がりに目が眩んでしまいそう。


悲しそうに立ち竦む彼を見ても今私が出来ることはないと分かる。


彼が私の元に訪れるのは、

決まってAに関すること。


��アイユ先輩'��

二の次に言われる言葉は必ず

��Aさん��





……いつもAには負けてばかり。

私が付き合った人も好きになった人も、

大抵最後はAの所に行く。

｢可愛いんだけど、｣

その言葉の続きを皆彼女に求めるんだって。

私には無くてAにはあるもの。

男の人はその無いものを彼女が持ってると言う。

だからごめん、告げていなくなる。



でもAを責めたり嫌いになったりは出来ない。

私は……薄々気付いてるのよA。

あなたがどんな経緯で男の人を紹介するか、人づてで耳にしたのよ。聞いたのよ。



だから私は何もしないし言わないの。

彼女が何もしないし言わないから。

どちらかが折れるのが私達。

��花のIU、月のA��

一緒に眺めることは出来ないの。

同じ時を過ごすことは許されない。





私が咲いた時はあなたは欠ける番。

私が芽を閉じた時はあなたは光を放つ番。





それが本来の私達。

花のIU、月のAの姿。

求められた関係。







｢Aさん……っ｣

｢僕はあなたが好きです、！！｣

｢あなた以外ありえないよ……ｯ｣







だから今は

私が芽を閉じてAが光を放つ番。



あなたの邪魔をしないよう、

光の影を作らないようにあなたの傍から離れる番。



｢おめでとう｣

彼女がいつも私に言うように、

今度は私があなたに笑いかける番。






Aは凄く幸せそうに笑う。

花が咲いたみたいにﾌﾜﾘと笑う。

ジョングク君といる時のAは女の子で可愛いの。





Aが咲いて私が欠ける番とも言えるね。

寒くて永い夜は私は嫌よ。

でもそんな時間もありかしら。






今までごめんねA

長く光が放てたらいい

綺麗に花を咲かせたらいい






そのために私は何も言わないね。

おめでとうとだけ伝えるね。

本心はやっぱり留めさせて。

仲良しだけど似るのはダメね…

だから同じ時は過ごせないの

お願いだから気付かないでね、









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