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ひと気のない公園。


聞こえるのは、小さな虫の音…

と、私の心臓の音。




ドキドキし過ぎて息が詰まりそう。




座っているベンチが、ぎしっと小さく音を立てて

隼の身体が私の方に向く。




「Aとは、ずっと友達だったけど、俺は、その…友達としては見てなくて…」



熱い眼差し。

真剣な表情…


瞳が合ったまま、反らせない…。



また、沈黙…。

一秒が、何十秒かのように長く感じる。



ごくんと、隼の唾を飲み込む音が聞こえて…



「その、俺は、Aの事が…」


一言一言隼が紡ぐ言葉を

心の中で噛みしめながら…





「す、、…」


ドクンドクンと聞こえるこの音は

隼のじゃないかと思えるぐらい…


隼も緊張しているのが、伝わってきて…





「す…」




吐き出す息の音。

唇は“す”の形のまま、なかなか次の言葉が出てこない。



それって…


それって、そういう事…だよね?



次の言葉なんて

もう、一個しか思い浮かばない…


聞く前から涙が出そう。



なのに、言ってもらいたくて

ただただ、真っ直ぐ隼を見つめる私。







「す、すー」






「待って、酸欠…」


スーハーと、隼が横で呼吸を整えて

もう一度、私を見る。






「す…す、す、す、すーごく…?」


ん?

思っていたのと違う続きの言葉に

2人で首を傾ける。



『す、ごく…?』



「す…」




視線がぶつかって


なんか、緊張し過ぎて

お互い可笑しくなってきて…


ぷっ、て

どちらかともなく笑い出して…




『もう、“す”の次は?』

「す、、“す”からの〜?」


『からの?』





「からの………」
















「…付き合う?」


って、更に首を傾げてこっちを見るけど。



いやいやいやいや


ちょっと

大事な言葉が抜けてません?




「A?」



『なんか…言葉足りなくない?』



とぼけた表情をする隼に

少し冷たく言ってみる。



「そう?」



大事な時にごまかすのは

隼の悪い癖。


分かっているけど…

今はそれダメでしょ。





「じゃあ…」


何か考えるように、視線を上に逸らして


今度こそと期待した唇からは

また、予想もしない台詞…。





「…彼女になって?」


って、


それじゃないし!


絶対、わざとしてる!

51 ー 隼 side ー→



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あず(プロフ) - しゅうさん» コメントありがとうございます。不器用な隼くんを描くのは私も楽しかったので、また機会があれば描いてみたいと思います(^^) (2018年7月26日 23時) (レス) id: 30ff9accf8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅう(プロフ) - 隼くん。めっちゃ良かったです!不器用さにきゅんきゅんしました!隼くんの小説少ないので、ぜひもっと書いて下さい★ (2018年7月22日 19時) (レス) id: 9acbcf9b49 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - えりなさん» コメントありがとうございます。よろしければもう少しお付き合いください(^ ^) (2018年3月3日 1時) (レス) id: 7a47056526 (このIDを非表示/違反報告)
えりな(プロフ) - とても良かったですキュンキュンしました (2018年2月25日 19時) (レス) id: 7f525f8379 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - NaTsuKiさん» コメントありがとうございます。とっても嬉しいです(^^)後もう少しなのでお付き合い下さい。 (2018年2月24日 9時) (レス) id: 7a47056526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あず | 作成日時:2017年3月18日 20時

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