王子様に恋してーRyota.Kー

story 9 ページ9

レ「ごめん、お会計してもらえる？」

『あっ、はい』

メッセージを読んだレイコさんは慌てて帰り仕度を始めながら

表情がほわんと柔らかくなっている。



彼氏さんかな？


確か、北海道と東京で遠恋中って

一度だけ店に2人で来られた時、ケイゴさんとの会話を盗み聞きした事があったし


『彼氏さん、今東京に来られてるんですね』
「え？」
『3日ぐらい前に、一緒にスーパーで買い物をしているのを偶然見かけて…』


「そう…」と目を細めて笑うレイコさん。

『今から会われるんですか？』

彼氏さんもカッコいいし
まるで幸せを絵に描いたような2人の姿で

離れてもずっと好きで付き合っていけるなんて
そういう所も憧れてしまう。


「……ごめんなさい。急いでるから」

ニコッと微笑んで、足早に店を出て行く。


いつもクールなレイコさんなのに

まるで恋する少女みたいに頬を染めて。



恋って、こんな風に人を変えるんだなあと感心しながら。



私も恋をしたら変わるのかな…。




「Aちゃん、お客さんから話さないのに、あんまりこっちからプライベートな事を聞かないようにね」



レイコさんを入り口の外まで見送って中に入ると、珍しくケイゴさんに注意される。


お客さまの距離感で接して
お客さまの心地よい空間を提供する事がケイゴさんのポリシーで。


常連さんが何回も通いたくなるのも凄く分かる。


すぐ思った事を口にしちゃう私。

気をつけなくちゃ。

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