検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:190,285 hit

story 5 ページ5

「Aちゃん、傘立て出しておいて」


夜も10時を回った頃

常連さんを外に送り出したケイゴさんが
私の方を振り返る。


空を見上げると
厚い雨雲が空一面を覆い隠していて

さっきまで綺麗な星空だったのに
今にも雨が降りそうだった。






ーカランカラン


『いらっしゃいませー』


誰も居なくなった静かな店内に、ベルの音が響く。

ドアが開いた瞬間

雨の匂いが鼻先をくすぐって
とうとう降ってきた事を知らせる。



今お店に入って来たその人は
腕についた雨の滴を、手で払いながら

お店全体を見渡し

L字型のカウンターの一番奥、人目のつかない席に座った。





これは…


神様



こんな事って、あるんでしょうか?




グラスを布巾で拭きながら

その人を凝視したまま、目が追っていく…




今まさに

私の目の前に座ったお客さんは


今日チェックした
涼太くんのブログの写真と同じカッコで


黒いハットに黒縁のメガネ
ボーダーのTシャツ…



ずっとずっと、憧れていた人が







目の前に…?





「あの…」




この状況が理解できなくて
間抜けな顔をしている私が

あの、テレビや雑誌で見ていた大きな瞳に
映っている。





『は、はいっ』




この声



本物だ…



本物の、片寄涼太くんだ!





しかも私を見て

私に、話しかけているなんて。



全身の血が頭に集まってきたみたいに

クラクラしてきて。





「…大丈夫ですか?」


怪訝な瞳。




『え?』




「Aちゃん?!」


手に熱い滴がかかり
横からケイゴさんの声が聞こえて、ティッシュを差し出してくれる。


手元を見ると布巾が赤く染まっていて

鼻の下に、熱いモノが流れる感触…



「Aちゃん、ここは僕がするから」

ケイゴさんが焦って、私を奥に追いやる。





神様…



なぜ

彼がここに?



お店の奥で、鼻血を拭いながら
2人の会話に聞き耳を立てる。



ケ「失礼いたしました。」
涼「いえ、…何か強いお酒もらえますか?」
ケ「好みはありますか?」
涼「…酔えたら何でもいいです」

story 6→←story 4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (253 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
365人がお気に入り
設定タグ:GENERATIONS , 片寄涼太
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あず(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです^_^また機会があれば、描いてみたいなと思っています。 (2018年7月22日 10時) (レス) id: 30ff9accf8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - こんばんわ。一気に読ませて頂きました^_^ このお話大好きです。完結してますが、この後のお話を読みたいです。ぜひ、お願いします。 (2018年7月6日 21時) (レス) id: 1e3e43fc2a (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あい*さん» 待って下さっててありがとうございます!ゆっくりかもしれませんが、とりあえず完結目指して頑張ります! (2016年10月10日 10時) (レス) id: 86d1389d64 (このIDを非表示/違反報告)
あい* - ずっと続きが気になっていたので更新再開嬉しいです。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: aeb27fa9d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - わいさん» 放置し過ぎてごめんなさい!これから更新頑張ります!まだ興味があれば、見てくださると嬉しいです(^ ^) (2016年10月5日 12時) (レス) id: ab09cdb9d2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あず | 作成日時:2015年7月19日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。