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story 37 ページ37

どんなに辛い事があっても

いつものように生活が始まる。




「どうしたの?!」

大学の教室の
1番後ろの端っこの目立たない席に座っていると

ミカが私を見るなり、大きな声を上げる。



あの後家に着いてからも
涙が溢れて止まらなかった。


今日は昼からの授業で
午前中ずっと泣き続けた結果


気づいたら、瞼がパンパンに赤く腫れていて…。


人間、こんな泣けるものなんだ。


コントロール出来ない感情って

本当にあるんだ…って


涼太くんに出会ってから

初めて気づく事ばかり。



ダメだ…


また、泣きそうになってくる。




『これは…ちょっと言えない…』


さすがに、昨夜の事を赤裸々に語れる状況でも気分でもない。


ミカは察してくれたのか
「落ち着いたら、また話してね」


ぽんっと、優しく背中を叩いてくれた。








カランカラン


『いらっしゃいませー』



ミカから瞼の腫れを鎮める方法を聞いて
なんとか、気づかれない程度に治って

今日もお店に出勤。




お店のドアが開く度

やっぱり、どこか期待してしまう私。



来る訳ない…。


分かっているはずなのに。








「Aちゃん、傘立て出しておいて」

『雨降ってます?』


「今にも降り出しそう…今日晴れって言ってたのにね」



外に出ると、灰色の雲が空一面を覆いつくしている。


もうすぐ、バイトも終わる時間。

それまで持つかな…




こんな日は

初めて涼太くんがお店に来た日を思い出す。


あの日も突然の雨で


ケイゴさんの一本しかない傘を
勝手に貸して、ミカに怒られた。


あの日以来

いつでも貸せるように、涼太くん用にお店に傘を置いていたけど…



『もう、いらないか…』



また溢れそうな涙を堪えるように

空を見上げて、呟く。







「Aちゃん?」


お店に入ろうと

ドアに手をかけた時



私の名前を呼ぶ、愛しい声。




もう、来る事ないと思ってた。


何を話しにきたか、なんとなく分かる。



真面目な涼太くん。


あんな事があった後も

逃げずに、ちゃんと直接会いに来てくれて

こうして…向き合ってくれるんだね。

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あず(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです^_^また機会があれば、描いてみたいなと思っています。 (2018年7月22日 10時) (レス) id: 30ff9accf8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - こんばんわ。一気に読ませて頂きました^_^ このお話大好きです。完結してますが、この後のお話を読みたいです。ぜひ、お願いします。 (2018年7月6日 21時) (レス) id: 1e3e43fc2a (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あい*さん» 待って下さっててありがとうございます!ゆっくりかもしれませんが、とりあえず完結目指して頑張ります! (2016年10月10日 10時) (レス) id: 86d1389d64 (このIDを非表示/違反報告)
あい* - ずっと続きが気になっていたので更新再開嬉しいです。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: aeb27fa9d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - わいさん» 放置し過ぎてごめんなさい!これから更新頑張ります!まだ興味があれば、見てくださると嬉しいです(^ ^) (2016年10月5日 12時) (レス) id: ab09cdb9d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あず | 作成日時:2015年7月19日 13時

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