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story 33 ページ33

「…何信じていいか、よく分かんね…」


吐息まじりの、悲しげな声。





こんな時…



何て言葉をかけたら…



どんな気持ち?



今まで本気で誰かを好きになった事のない私は


レイコさんの気持ちも

失恋の痛みさえも…


よく分からない…。







「“好き”って、何なんやろな…」



涼太くんが、ソファの上で膝を抱えてボソッと呟く。






“好き”…



私の…この

涼太くんへの気持ちは、何なんだろう…。



普通の“好き”と、違うの…?









『すき……』


小さく、確かめるように声に出してみる。




その言葉と一緒に思い浮かぶのは

涼太くんの顔…


口にするだけで

胸の奥が締め付けられて…


きゅっと、胸の前で手を握る。









「もう一回、言ってよ…」


私の顔を覗き込む涼太くんと

思ったより近い距離に戸惑う。





「今の」



『今、の…?』




聞こえていた事にも驚いて
顔に熱が集まってくる。



今までも、何度か

想いが溢れる度に言っていた言葉。



なのに…




『言えない、です…』


真っ直ぐ見つめる瞳に

全てを見透かされそうで…慌てて目を反らして。




「そうだよね…」


寂しそうに

ふっと笑う涼太くん。




そんな

泣きそうな顔しないで…。



何かが、違うの。


今の、“好き”と

涼太くんがお店に来る前の、“好き”と…。



簡単に言えないのは…

本当の意味が、込められてきたから…?







「言って…?」


優しく、甘い声…。


もう一度、目が合うと

切ない瞳で見つめられて…




きゅうっと、胸を締め付ける

甘い痛み…。








『…大好き…です』



何故だろう…


その言葉を口にすると

涙が出そうになる…






涼太くんの瞳が大きく揺れて

ゆっくりと、近づいてくる。


私の右手のすぐ横に、涼太くんの手が置かれて


ソファの弾力で
身体が、少し右側に沈む。

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あず(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです^_^また機会があれば、描いてみたいなと思っています。 (2018年7月22日 10時) (レス) id: 30ff9accf8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - こんばんわ。一気に読ませて頂きました^_^ このお話大好きです。完結してますが、この後のお話を読みたいです。ぜひ、お願いします。 (2018年7月6日 21時) (レス) id: 1e3e43fc2a (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - あい*さん» 待って下さっててありがとうございます!ゆっくりかもしれませんが、とりあえず完結目指して頑張ります! (2016年10月10日 10時) (レス) id: 86d1389d64 (このIDを非表示/違反報告)
あい* - ずっと続きが気になっていたので更新再開嬉しいです。 (2016年10月5日 17時) (レス) id: aeb27fa9d9 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - わいさん» 放置し過ぎてごめんなさい!これから更新頑張ります!まだ興味があれば、見てくださると嬉しいです(^ ^) (2016年10月5日 12時) (レス) id: ab09cdb9d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あず | 作成日時:2015年7月19日 13時

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