case 28 ページ28
「…別れろって事?」
『そうとは言われなかったけど…』
あくまでも“今は”って感じだったけど、HIROさんの本心は分からない。
「一応忠告って感じかな」
『“会うな”とか具体的な事は何も言われなかった。ちゃんと自覚して責任持って行動しなさいって事なんだと思う』
「玲於くんは知ってるの?」
『まだみたい。玲於、今LAに行ってるし、帰国してから言うつもりでいたみたい。
…でも、玲於には言わないで下さいって私からお願いした』
玲於には出来るだけ負担をかけないようにしたいから、私からうまく伝える方法を考えさせてくださいって言ったら、HIROさんも一応頷いてくれた。
「Aから言うの?」
私は静かに首を横に振る。
『今のところ言うつもりはない。
玲於には、余計な事を考えて欲しくないから…仕事やダンスや好きな事だけを考えていて欲しい』
「…それでいいの?」
迷いながらも私は唇を噛み締めて頷く。
『なんて。玲於に言ったら、すぐ別れよって言われるかもって、怖かったりするのもあるんだけどね』
別れるにしても、どう言おうか悩んだり、相手に気を遣ったりでそれなりの労力だって使う。
そんな事で玲於に悩んで欲しくない。
「それは、大丈夫だよ。絶対!」
無理に笑ってる私を見て、希美は元気づけようと精一杯力強く肯定してくれる。
『うん、ありがとう…』
「…これからどうするつもり?」
『どうしよう…実際HIROさんにこうやって直接言われて、今まで通りにはできない』
「…でも、ほら、別れろって言われてないんだからさ。外で会うの控えるぐらいでいいんじゃない?」
『……』
「Aから別れるとか考えてないよね?」
黙って俯く私を心配そうに覗き込む。
『……別れたくない…けど』
HIROさんに対して格好つけて言ったものの、具体的にどうしていいかなんて分からなかった。
調子にのってたな…
玲於も特に私たちの関係を隠そうとしなかったから、私もそれに甘えてて
玲於の立場をちゃんと考えずに浮かれていた自分が、今更ながら恥ずかしくなってくる。
携帯が震えて、LAの玲於から自撮りの写真と、短いメッセージが届く。
…眩しいな。
無邪気にはしゃいでいる玲於の顔を見て目を細める。
一つ一つ夢を掴んでいく為に頑張っている玲於の邪魔には絶対になりたくない。
どうする事が玲於にとって一番いいんだろ…
私に出来る事って何?
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あず(プロフ) - 愛利さん» そんなに感動して頂けるなんて…書いて良かったです!ありがとうございます!! (2016年10月20日 19時) (レス) id: 9b3d990a2d (このIDを非表示/違反報告)
愛利 - 一気読みしちゃいました!最後のところ感動しすぎちゃって枕ビチャビチャです(笑) (2016年10月18日 19時) (レス) id: 183501c55e (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - milkさん» 感想嬉しいです!最後まで読んで頂いてありがとうございました!! (2016年5月9日 8時) (レス) id: a67bb7e532 (このIDを非表示/違反報告)
milk - めっちゃ感動しました!!面白かったです! (2016年5月8日 22時) (レス) id: 62df234d60 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - ぴーなっつさん» イメージと合っていて良かったです!感想嬉しかったです☆ありがとうございます! (2016年3月28日 19時) (レス) id: 7ee4db9f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あず | 作成日時:2015年4月25日 8時