case 46 ー亜嵐 sideー ページ46
ー亜嵐 sideー
玲於がいない。
今日は都内のイベントで、リハーサルも終わってメンバーみんな思い思いの時間を潰しててるけど、玲於の姿が見当たらない。
もしかして…
俺はその場から駆け出した。
・
いた…
玲於は屋上にいた。
そこにあるベンチに座って、ぼんやりと空を眺めている。
そうだ
今日は、彼女が旅立つ日だ…
そんな日に相応しく、雲一つない青空で
それが余計、玲於の背中を切なく映していた。
俺は何て言葉をかけていいか分からず
呼吸を整えてから、玲於の隣にそっと座る。
「…俺、何でここにいるんだろ…」
俺が隣にいるのに気づいて、玲於が小さく呟く。
「…玲於、ごめんな。」
俺が、余計な事を言ったから。
「違う。亜嵐くんのせいじゃない…彼女が決めた事だから。
ホントは別れよって言われて俺、
少しほっとしてた。
仕事で認められたいのに、すぐに結果なんて出ねぇし。気持ちばっか焦るし。
でもAの事も考えなきゃって…自分でもどうしていいか分からなかった」
「玲於…」
Aさんは
そんな玲於の気持ちを見抜いてたんだろうか…
「俺、Aに何もしてあげられなかった。Aはいつも、俺の事考えてくれてたのに…
俺は…
辛い選択させるしか…できなかったんだ…」
俺は黙ったまま。
子供のように泣く玲於の頭を
そっと、肩に引き寄せる。
・
・
「大好きだった、のに…」
Aさんに伝えたかった言葉を
吐き出すように、俺の腕の中で呟く。
玲於の気持ちが痛い程伝わってきて
俺も泣きそうになる。
何で上手くいかないんだろう。
あんなに幸せそうな2人だったのに…
もし、出会った時間が違うかったら…
そんな有りもしない事を考えてしまう。
玲於、
力になってあげられなくて、ごめんな…
腕の中で
小さくなって震えている玲於を感じながら
空を見上げて
ぐっと、唇を噛んだ。
・
その後のイベントでの玲於は
今まで以上に気合が入っていて
さっきまで泣いていたのが、嘘みたいだった。
きっと
Aさんが玲於の為に別れを選んだ事を
後悔させたくなかったんだ…
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あず(プロフ) - 愛利さん» そんなに感動して頂けるなんて…書いて良かったです！ありがとうございます！！ (2016年10月20日 19時) (
レス) id: 9b3d990a2d (このIDを非表示/違反報告)
愛利 - 一気読みしちゃいました！最後のところ感動しすぎちゃって枕ビチャビチャです（笑) (2016年10月18日 19時) (レス) id: 183501c55e (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - ｍｉｌｋさん» 感想嬉しいです！最後まで読んで頂いてありがとうございました！！ (2016年5月9日 8時) (レス) id: a67bb7e532 (このIDを非表示/違反報告)
ｍｉｌｋ - めっちゃ感動しました！！面白かったです！ (2016年5月8日 22時) (レス) id: 62df234d60 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - ぴーなっつさん» イメージと合っていて良かったです！感想嬉しかったです☆ありがとうございます！ (2016年3月28日 19時) (レス) id: 7ee4db9f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず
| 作成日時：2015年4月25日 8時
