case 44 ー玲於 sideー ページ44
『玲於、別れよっか…』
全く予想もしていなかった言葉じゃないけど、
現実に言われると、頭を殴られたみたいな衝撃を受ける。
衝撃が強すぎて言葉の意味が頭に入ってこない。
「…なん、て？」
『別れよ。玲於』
うそだ…
何言ってんの？
「…イヤだ」
手が、声が震える…。
足に力が入らなくて動けなくて、
いつもみたいに触れたいのに、Aまでの距離が遠い。
「…なん、で？
何で相談もせずに勝手に決めるんだよ？
俺が子供だから…？」
『違う。子供なんて思ってない。
玲於が私の事を考えてくれているのは、ちゃんと分かってる。私が、自分に自信がないだけなの。
相談しなかったのはごめん。
ちゃんと話すのが恐くて、私自身が逃げてた』
迷いのない目で、真っ直ぐ俺を見る。
『私は私の夢も大事だけど、玲於の夢もすごく大事。
玲於が、私の為に無理してる姿は見たくない。
玲於には、玲於の夢だけを考えて欲しいの』
俺の事を一番に考えてくれているのが伝わってくる。
「無理、なんか…」
否定しようとしたけど、嘘っぽくて
「…ごめん」
まっすぐ俺を見るAの目を見れなくて、俯いた。
あんなに見つめ合って
よく知っていたはずの瞳。
なのに、今は…
すごく遠くに見える…。
膝の上で硬く握ってる拳に、冷たい滴が落ちる。
かっこ悪いのは分かっているのに
涙が溢れて止まらなかった。
そんな俺を見て
Aはやっと俺の隣に座ってくれて…
背中に手を回して、優しく包み込んでくれる。
その温もりを感じて
抑えきれずに、声をあげて泣いた。
それなのに
あの泣き虫のはずのAが
全然泣かなくて
『玲於、今までありがとう。
私、玲於に会えて良かった…』
俺の好きな、いつもの優しい眼差しに戻って
微笑んでくれる。
言いたい事はあるはずなのに
何一つ言葉にならなくて。
情けないけど
ただ、泣く事しかできなかった。
それでも、
Aは
俺が泣き止むまで、ずっと…
優しく、抱きしめてくれていたんだ…
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あず(プロフ) - 愛利さん» そんなに感動して頂けるなんて…書いて良かったです！ありがとうございます！！ (2016年10月20日 19時) (
レス) id: 9b3d990a2d (このIDを非表示/違反報告)
愛利 - 一気読みしちゃいました！最後のところ感動しすぎちゃって枕ビチャビチャです（笑) (2016年10月18日 19時) (レス) id: 183501c55e (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - ｍｉｌｋさん» 感想嬉しいです！最後まで読んで頂いてありがとうございました！！ (2016年5月9日 8時) (レス) id: a67bb7e532 (このIDを非表示/違反報告)
ｍｉｌｋ - めっちゃ感動しました！！面白かったです！ (2016年5月8日 22時) (レス) id: 62df234d60 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - ぴーなっつさん» イメージと合っていて良かったです！感想嬉しかったです☆ありがとうございます！ (2016年3月28日 19時) (レス) id: 7ee4db9f7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず
| 作成日時：2015年4月25日 8時
