My Only Love ーReo.Sー

case 23 ー隼 sideー ページ23

「あっ、玲於」

トレーニングも終わって、1人帰ろうと受付前を通る時、先に出たはずの玲於の姿を発見する。

お弁当が入っていた紙袋をちょうど彼女さんに返しているところで
俺に気づいた玲於がやっべってバツの悪そうな表情をする。


「隼、帰るぞ！」

玲於はその場から早く立ち去りたいみたいで、歩き始める。


またAさんの前でからかわれると思ってんだな。


そりゃあ、
こんな楽しい状況ないもんなあ。



「玲於、めっちゃ嬉しそうに食べてましたよ」
『ほんと？』

玲於を無視して、Aさんに近づいてこそっと耳打ちする。

その言葉にAさんはふんわりとした笑顔を見せて。

この人って仕事柄もあって普段ピシッとしてるイメージあるけど、玲於の事となるとふにゃ〜と柔らかい表情になるんだよね。

年上だけど、かわいいって思ってしまう。


玲於に怒られそうだけど。


「うん。今日メンさんが一緒で、すげー自慢して見せびらかしてた。そんで、メンさんが自分で作った渾身の弁当を玲於がめっちゃけなしてて、メンさん怒りだして自分の弁当ヒックリ返して、そんで玲於のを取り上げようとして大変だった」

『え？ホントに？』

「半分、ウ、ソで〜すっ」

『え？』

どこまで？と首を傾げながら笑うAさん。



「近いよ」

玲於が戻って来て、Aさんと俺の間に入って引き離す。


「じゃあね〜、Aさん」
『うん。お疲れさま。』

玲於に腕を引っ張られながら、顔だけ後ろを向いてAさんに手を振る。


「楽しそうに、何話してたんだよ？」

玲於、気になって仕方ない、みたいな。


「教えな〜い」


ホント、ヤキモチやきだね〜。


周りから見ると全く入る隙のないぐらい
ラブラブな空気出してるのに…



そんな幸せそうな2人が

玲於が

あんな泣く事になるなんて

この時の俺は、微塵も思わなかったんだ…

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