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泣いた顔を見られないように
背中を向けて、奥に引っ込むA。


明日は早いけど

今、Aを1人にして帰れないと思ってここに残った。



俺の前で泣けばいいのに

その為にここにいるのに…。



こういう時の為に側にいるんだって、思ってたのに…


何で?


何で、俺は何も出来ないんだろ…。




代わりに出てきたマスターに会計を済ませて、足早に店を出る。


これ以上

惨めな想いをしたくなかったから。



俺のこの痛みを癒せるのは、Aだけ。

Aを今癒せるのも、亜嵐くんだけなんだ…


同じ、だね。

痛いほど分かる。


想いが届かなくて切ない痛みも…

好きな人に何もしてあげられない、もどかしい痛みも…



分かるのに、何もしてあげられないなら何の意味もないんだ…


これ以上、情けない思いをしたくない。



亜嵐くんの為にも、Aの為にも


自分の為にも…


このままじゃ駄目なんだ。



じゃあ今…俺にできる事は…?




俺に出来る事は、ただ一つ。


Aにかかった呪縛を

解いてあげなきゃ…
















次の日がオフの夜

さし飯しようと亜嵐くんを誘って、居酒屋の個室に入る。


「玲於ピッチ早いね」

「そう?」



色んな気持ちが絡まって、お酒だけが進んでいく。

今日、俺の勝手な片思いからAを解放してあげる…




適当に近況報告しながら、食べて飲んで

亜嵐くんも俺も、いい感じで酔いが回ってきた頃


お代わりしよっかなってメニューに視線を移しながら、自然を装って口を開く。



玲「亜嵐くんってさー、Aの事どう思ってんの?」

亜「ん?どうって?」


玲「女として見ない?」


亜「Aを?」

玲「そう」


亜「えー、んー?」


お酒で鈍くなった頭で必死で考えてるのか

うーん、って眉間に皺を寄せて


玲「そんな風に見た事ない?」

亜「んー、なくはない、かも?」


玲「あるんだ!」


それはそれでショックで

一瞬、目の前が真っ暗になる。



亜「まあ、普通に女としては見れるし、付き合えなくはないかもな」


玲「そうなんだ…」


可能性がない訳じゃ、ないんだ…


Aが聞いたら

少しは安心するかな。


思ってたよりきついはずなのに

涙もでない。


自分の気持ちを偽り過ぎて

色んな感情が、麻痺してるみたいだ。



亜「でも玲於の好きな奴って時点で対象外だから」


安心しろ、なんて

呑気に笑って。


その思いやりが辛いのに…

★→←★ ー YOU side ー



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りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年2月1日 2時) (レス) id: 23700234a2 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年1月25日 1時) (レス) id: ad058fd0f4 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年1月22日 0時) (レス) id: ee645294a7 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - あずさん» いえいえ(*^-^*)そうなんですね(*^-^*)頑張って下さい(*^-^*) (2021年1月19日 0時) (レス) id: ee645294a7 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - りささん» コメントありがとうございます!せめて全員描きたい…頑張ります(*^^*) (2021年1月18日 20時) (レス) id: 26814e9a22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あず | 作成日時:2018年7月6日 1時

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