case 36 ページ36
「ごめんな…」
『ん…』
すっと空気が揺れて、亜嵐の手が私に伸びるのを感じた時
『そういやお店、いくらだった？亜嵐が払ってくれたの？』
反射的に顔を上げて、なぜだか一歩後ずさりしてしまった。
アユミちゃんのお祝いだから、私がご馳走するはずだったのに。
もう、この話は終わったんだ
大丈夫って、普段通り振る舞うように
財布は鞄の中にある事を思い出して、鞄を取りにリビングに戻ると
続いて亜嵐も入って来て…
背を向ける私に、後ろから腕を回されて
ふわっと抱き締められる。
ふいに
全身に走る、緊張感。
あれ？
なんか、…
身体を反転させられて
亜嵐の手が、私の頬に優しく触れた時
『ちょ、ちょっと待って…』
気づいたら、亜嵐の胸を押し返して
距離を取るように、両腕を伸ばしていた。
自分でも驚いて、咄嗟に亜嵐の顔を見る。
大きく揺れる、亜嵐の瞳。
『…ごめん』
「いや、俺が悪いから」
伸ばしていた腕を、ギュッと自分の胸の前で握って、
浮いている亜嵐の手も、ゆっくりと下りていく。
一瞬、よぎった
アユミちゃんの、顔…
そして
“感じてた”って、言葉。
キスされて、なんだ。
亜嵐は
一瞬でも、アユミちゃんを受け入れたんだ…って。
その事実が
私の感情の扉を叩いて…
急に、また、溢れだす涙。
亜嵐は悪くない。
頭では分かってるのに…
アユミちゃんを受け止めた、腕や手
そして、キスした唇。
同じように触れられるのが
なぜだか、すごく嫌だった。
私から拒絶された事に
亜嵐も辛そうな顔をしている。
そんな亜嵐を見ていられなくて、
泣き顔も見せたくなくて、くるりと背を向ける。
どうしよう。
せっかく来てくれたのに…
何で、こんな態度をとってるんだろう。
コントロール出来ない感情に、止まらない涙。
『ごめん…1人になりたい』
亜嵐の戸惑いを背中に感じて
これ以上一緒にいる方が
お互いが傷ついてしまう気がして
背を向けたまま
この言葉を伝える事が、今の私には精一杯だった。
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sakura13ryuji90(プロフ) - アユミちゃんの気持ちもわからなくはないです！私も好きな人がいるのですがその人には多分彼女がいて、しかもその彼女は私の親友とゆう複雑な感じでどうにも出来ないんです、主人公の女の子になりたいですねー！亜嵐くんはやっぱり優しい！！！ (2018年9月21日 0時) (
レス) id: a12dea4425 (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - 感想ありがとうございます！面白いのかなぁって気になっていたので、嬉しかったです。とりあえず、完結頑張ります！ (2016年5月22日 20時) (レス) id: 847e794d67 (このIDを非表示/違反報告)
yuna(プロフ) - この小説とっても面白いですっ！てかアユミちゃんなんなんですかね、はらたちます。切なすぎて切なすぎて…、はぁ続きが気になる。 (2016年4月11日 20時) (レス) id: 9270ca8be2 (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - yurikaさん» ありがとうございます！続編喜んで貰えて嬉しいです(>_<)2人が成長する姿を書けたらと思いながら…前作を裏切らないように頑張ります☆ (2015年7月26日 7時) (レス) id: 808fbb2dfc (このIDを非表示/違反報告)
yurika - この小説好きなので続編読めてめっちゃ嬉しいです!! 更新頑張って下さい。。 応援してます(^^) (2015年7月24日 23時) (レス) id: e696601b77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず
| 作成日時：2015年7月22日 18時
