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樹「今日は何時からだったけ?」
『あ、えっと…今日は11時現場入りだから9時にはヘアメイクすませときたい!』
樹「おっけ」
私と樹くんの接点はあまりない。
翔平と樹くんが幼なじみだからといって私も幼なじみなわけではなかったし
ダンスも習ってない私が長崎を出る機会もなかったから樹くんに会うのは翔平が2人で翔平の家に遊びに来た時に3人で遊ぶくらいだったし、
なんなら私樹くん苦手だった記憶しかないな……
同い年なのになんか大人びてて色んなこと知っててちょっと怖かった。
それは今でも同じ。
樹くんたまに私の事無言でじぃっと見つめてくるんだけどその瞳を真っ直ぐ見つめることは出来ない。
だって怖いもん。
慎「はよざいまーす」
何故か鼻のてっぺんが真っ赤になっている慎くんが小さな声で楽屋に入ってくる。
『おはようまことくん』
昨日はどうも邪魔してくれてありがとうの意も込めて微笑む。
慎「怖いっす」
『そんなことないよ〜笑』
慎「目が、目が笑ってない……」
何か言ってる慎くんは無視して壱馬くんを盗み見る。
今日も整ってますかずまさん……最強です……
だけど何だか最近おかしくて、
壱馬くんを見ると体の中の四角い箱に好きって言葉がぎゅーって詰まっていくみたいでそれが苦しくて、
それくらい大好きなんだってわかるけど涙が出るくらい嬉しくて悲しくて、辛い。
壱馬「どうした?」
そんなふうに見つめられると勘違いしそうになる。
私の事、実は好きなんでしょなんて本人に心の中覗かれちゃったら恥ずかしくてたまらないような勘違いをしているのに。
どうしてそんな愛おしいものを見るような瞳で私を見つめてくるの?
泣きそうになる気持ちを抑えながら
大丈夫です、と答えた。
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作者名:yyuu | 作成日時:2020年10月31日 23時