日の鳥と不死鳥は夢の中【ONE PIECE】 (ページ29)

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いいから取り敢えずページ29

それからボイロは人が変わったように、

冷たく話し出した。とてもペラペラと、饒舌に。

｢わかってると思うけど、要はザックに

生きててほしいんだよ。だから、こんなことをした。

この世界にはもうザックはいない。

それはどうしようもない事実だって痛感してる。

だから、ザックのいる世界を作ることにしたんだ。

…ただ、それだけ。｣

言葉を紡ぐ度に、ボイロは萎縮した。

弱々しく見える。

｢で、実験は死ぬ可能性もあるから、

死なねェ俺たちを実験体にしたっていうのかよい｣

マルコの言葉に、ボイロは頷く。

｢…もういいや。はやく、終わらせてよ。｣

力ないボイロの声には、感情を感じられない。

その一言で、言い様のない憤りが生まれた。

『ねぇ、お前は何年間その命を抱えてるの？』

｢…29年だけど｣

ぶっきらぼうな返事も気にしない。

｢おい、A？｣

マルコが違和感を感じてることも気にしない。

ただ、今は

『そう、29年ね。

聞け、小僧。

命を軽く見てると、本当の意味で殺すよ。』

命を大切にしてほしい。

『いつか来る死は、生者の権利なんだよ。

それをなに？終わらせてくれ？

そんなのお断りだ。

そんなこと言う奴に、死はあげられない。

勿体ない。

いいから、取り敢えず生きろ。』