#5《約束》 ページ8
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『たつくん』
Aさんのそう呼ぶ声が
いつも俺を奮い立たせる。
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『たつくん、バレー始めたんやって?頑張りなよ〜』
『たつくんも京都か〜、ちょっと遠いから毎朝、早起きせんとあかんね』
『準優勝やってすごいやん?来年見返したったらええねん』
『たつくん、春高優勝おめでとう』
『東京、行くんやね。頑張っておいでね』
「Aさん、イタリア行くってほんま、、?」
4つ年上のAさんは、
気づいた時には俺を"たつくん"と呼んでいて、
いつも応援してくれて、
いつだって近くて、いつだって遠かった。
Aさんは、実家の近所に住むお姉さんで、
親同士が仲良くて、よく遊んでもらっとった。
中学に入ったAさんがバレー部に入ったこともあって、俺もやってみようと思いバレーを始めた。
Aさんは高校生の時に足を怪我してしまい、バレーからは離れてしまったが、バレーが上手くて、頭が良くて、俺の目指すところはいつもAさんやった。
大学では京都の国立大に入り、外国語を勉強していた。
俺が大学を決めたころ、Aさんは就職で、イタリアに行くことを決めていた。
近いようで遠かったAさんが、本当に遠い存在になってしまうようやった。
「Aさん、イタリアで何するん?」
『もっと言語の勉強したいし、いろんな国の文化に触れたいんよ。それに夢があるから、その夢を叶えるために必要なことができるんは、イタリアかなって』
「夢って?」
『んーー、たつくんは知ってるはずやで?
わたしの小さい頃からの夢』
「えっ、ほんまに?」
『たつくん、小さかったから覚えてないかもしらんけど、まあ、わたしの夢がかなった時には教えてあげる。
それまでに思い出してくれてもええけどね』
Aさんはそう言って、イタリアに行ってしまった。
Aさんの夢は全然思い出せんけど、夢に向かって進んでいくAさんに負けないように、俺も自分の夢に向かって進もうと、より一層心を奮い立たせられた。
イタリアの遠い地で何をしてるかをAさんは全然教えてくれんくて、
いつも"まだ教えられへん"って言うんや。
そのくせ
"インカレ優勝おめでとう"
"日本代表に選ばれるなんてすごいやん!"
なんて俺のことは全部筒抜けで、ほんまにこの人はずるい。
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美桜 - あむ…さん» そうなんですか!? いつか読める日を心待ちにしています まだまだ寒いのでお体に気をつけて更新頑張ってください! 応援してます (1月5日 0時) (レス) id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
あむ…(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、コメントありがとうございます。どの作品かな?って思っていたので追いコメントありがたいです。アイビーが美桜様の心に届いたようで嬉しいです。アイビーの未来のお話は少し考えているところもあるので、いつかお届けできたらと思ってます。 (1月4日 23時) (レス) id: c3ed15d929 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 下のコメント「アイビー」のことです こいつ何の話してんだってなりましたよね すいません (1月4日 22時) (レス) @page14 id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - いいお話過ぎて感動しました…泣 長編で過去とかそれからの2人がどうなったのかも見てみたいな・・・なんて思ったりして1人で悶えてます これからも応援してます! (1月4日 22時) (レス) @page12 id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ... | 作成日時:2024年1月1日 22時