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#13《棘》 ページ29






素直になれない自分は
君のことをどれだけ傷つけていたんだろう。


君はどれだけ俺を思ってくれていたんだろう。






------


「小川さん。
小川さんって、Aさんと付き合ってないんっすよね?」


「付き合ってねぇし、なんで?」


「いや、昔から一緒って聞いたから、仲ええし
付き合ってるみたいに見えたんで」


「腐れ縁みたいなもんじゃね?
それか、あいつが俺にひっついてきてるか」


「ふーん。じゃあ俺が狙ってもええってことですよね?」





「は?

え、藍、ああいうやつがタイプなの?
タイプ、年下とか言ってなかった?」




「普通に可愛いっすよね。
気も利くし、でもちょっと抜けてて守ってあげたくなる感じ
年上でもAさんなら全然ありっす。




小川さんが好きじゃないなら
俺がもらってもええですよね?」





頭を鈍器で殴られたような気がした。





中学から一緒で、高校も俺と同じ高校についてきたA。
部活もマネージャーをしてくれてずっと一緒で。

あいつ、いつも俺にひっついて
俺のこと好きなんじゃね?なんて思っていた。

そのくせ大学は急に別のとこに行きやがって
そこのバレー部でアナリストをやってて


なんだ、俺じゃなくてバレーかよ
なんて少し残念に思っていた。



就職は俺が豊田合成に内定をもらい入ってみたら
同期入社であいつがいた。


大学でアスレティックトレーナーの資格を取って
また同じチームにやってきたのだ。


「なんでいんの?」って聞いたら
『智大がここに入るって聞いたから』なんて言うんだ。


やっぱりひっついてきてんな、こいつ。
でも、ほんとにそれだけ。

ただ長く一緒なだけ。


俺が好きでも、あいつは別に。
ひっついてくるだけで、それ以上の感情は見せない。



俺のことを好きじゃないなら
今の関係が壊れないことが最善だ。



だから、俺は俺の気持ちに嘘をつくんだ。








「別に好きじゃねぇし、藍の好きにすれば?
俺に聞くことじゃなくね?」



あの日から藍は積極的にAに声をかけている。



にこにこ藍と話すあいつ。
なーんだ、あいつも藍みたいなのが好きなのかよ。
イケメンだしな。



やっぱり俺じゃない。
良かったな、そいつはお前のことが好きなんだよ。


さっさとくっつけばいい。
これ以上俺のそばにいようとしなくていい。



「Aさ、藍のこと好きなんじゃね?
いい加減いつまでも俺にひっついてないでさ。
俺が藍とくっつけてやろうか?」






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美桜 - あむ…さん» そうなんですか!? いつか読める日を心待ちにしています まだまだ寒いのでお体に気をつけて更新頑張ってください! 応援してます (1月5日 0時) (レス) id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
あむ…(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、コメントありがとうございます。どの作品かな?って思っていたので追いコメントありがたいです。アイビーが美桜様の心に届いたようで嬉しいです。アイビーの未来のお話は少し考えているところもあるので、いつかお届けできたらと思ってます。 (1月4日 23時) (レス) id: c3ed15d929 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 下のコメント「アイビー」のことです こいつ何の話してんだってなりましたよね すいません (1月4日 22時) (レス) @page14 id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - いいお話過ぎて感動しました…泣 長編で過去とかそれからの2人がどうなったのかも見てみたいな・・・なんて思ったりして1人で悶えてます これからも応援してます! (1月4日 22時) (レス) @page12 id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あむ... | 作成日時:2024年1月1日 22時

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