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#8《二人》 ページ18

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仕事を終えて、家に帰ると
玄関には誠大の靴。

今日は誠大の方が早かったんだ、と思いつつ
『ただいま〜』と声をかけるが返事はない。

いつものあれだな、と思い、そっとリビングに入ると



やっぱり。
ソファでタブレットを見ながらイヤフォンをして試合の映像を見ている誠大がいた。



集中している時に邪魔はしたくないのだが
以前同じ状況だった時に声をかけなかったら


「なんで帰ってきたのに声かけねぇの?」ってちょっと不機嫌になったから、それ以来声をかけるようにしている。






誠大の前に回り込み少し顔を覗き込むと
ぱっと目が合う。


すぐにタブレットを置き、イヤフォンをはずす誠大。
そのまま両手を広げるので、ちょっと躊躇すると



「ん、」って言いながら自分の横をトントンと叩く。



おずおずと隣に座ると
わたしの頭を胸に預けるようにして抱きしめる。



「おかえり、おつかれ」


『ただいま、誠大もおつかれさま

試合見てたの、もういいの?』


「ん、Aが帰ってくるまでって思ってたから」


『そっか』



誠大は海外から戻ってからこういうスキンシップが増えた。
それまでは抱きしめるなんて照れて、してくれなかったのに
今ではわたしのほうが照れてしまうくらいだ。




「ふっ、いい加減慣れろよ」


片方の口角を少し上げていたずらに笑うから
さらに少しだけ頬が熱を帯びた気がした。




『もう、、、ご飯作るから離して?』


「俺も一緒に作る」


『いいよ、やりたいことあるでしょ?』


「俺の今やりたいことはAと一緒にいることだから」



なんて言われてしまえばお手上げで。


見なくても分かるほど頬が暑い。




「二人でいる時は大切な二人の時間なんだから

 
タブレットなんて見ねぇよ





Aしか見えない」




誠大の少し上がった口角から視線を上げると
目線がぱちりと合って



そのまま流れるように目を閉じた。





触れる唇に、聞こえる心臓の音。

どれだけ大胆になってもドキドキと音を立てる心臓は昔と変わらない。





二人の胸の音が重なるように
ドキドキと音を立てていた。








end.






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美桜 - あむ…さん» そうなんですか!? いつか読める日を心待ちにしています まだまだ寒いのでお体に気をつけて更新頑張ってください! 応援してます (1月5日 0時) (レス) id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
あむ…(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、コメントありがとうございます。どの作品かな?って思っていたので追いコメントありがたいです。アイビーが美桜様の心に届いたようで嬉しいです。アイビーの未来のお話は少し考えているところもあるので、いつかお届けできたらと思ってます。 (1月4日 23時) (レス) id: c3ed15d929 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 下のコメント「アイビー」のことです こいつ何の話してんだってなりましたよね すいません (1月4日 22時) (レス) @page14 id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - いいお話過ぎて感動しました…泣 長編で過去とかそれからの2人がどうなったのかも見てみたいな・・・なんて思ったりして1人で悶えてます これからも応援してます! (1月4日 22時) (レス) @page12 id: a3587cf79e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あむ... | 作成日時:2024年1月1日 22時

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