bouquet

#14《可愛い君》 ページ13

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"石川祐希がきめたーー！！"


"再びきめたのはキャプテンの石川！！！"


"世界の石川が日本を引っ張っています！"




テレビの中でたくさんの声援を受けている。

インタビューでも、キャプテンとして真面目なコメントを残し、次の試合について真剣な顔で話している。



世間が知っているのはこんな石川祐希。





でも、昔から応援している人は知っているだろう。

彼が恥ずかしそうにインタビューを受け、
困ったら先輩に助けを求め、


わんこのようだったことを。





数年経てば、人は変わるのだな〜なんて思いながらテレビで、インタビューに答える彼を見ていた。





「ねぇ、その映像、何回見るの？」




後ろから急に声をかけられて我に返る。
録画していた試合映像を真剣に見すぎていた。




『あ、祐希おかえり。』


「ただいま。ってか何回目よ、見るの」


『え、何回でも。

だってわたしにとっては貴重なキリッとした石川祐希だもん』


「いや、俺でしょ？一緒じゃん」


『いやいやいや、全然一緒じゃないよ

家にいる祐希はわんこのゆうきくんだもん』


「いや、俺わんこじゃないでしょ
そりゃ昔の俺は、まあ、ちょっとふにゃっとはしてただろうけど、もうそうじゃなくね？」


『ふふっ、はいはい、そうだね』


「いや、全然納得してないじゃん。

Aちゃんこそ、もうちょっと俺見てドキドキとかしてくれても良くね？」


『祐希にドキドキ？ちゃんとしてるよ？

それ以上に可愛い祐希がいるから、祐希が悪い』



祐希はなんだそれ、なんて言いながらお風呂場に向かっていった。



祐希は日本代表のキャプテンも任されるようになり、バレーをしている時は、本当にかっこいい。
真剣な表情も多く、弟キャラだったはずがいつの間にか、周りを気にかけチームを引っ張る存在になっているのだ。

そんな祐希と大学生の頃から一緒にいるわたしは、変わっていく祐希を見ていた。

なんだか寂しいな、なんて思っていたが、家に帰ってくると、祐希は変わらず可愛いままで。
わたしの前では自然体でいてくれてるのかな、なんて嬉しく思っている。


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