05:戦争 ページ7
暫くの沈黙の後、あいつ…アダムが口を開いた。
「……そうですよ、唯一私だけが彼女に【殺された】。ナイフで、心臓を付かれて」
声は震え、顔は少し笑っているようにも見えたけれど、かなり悲しそうだったし、引きつっていた。
「やっぱりそうなのね…、氷の国の騎士団長なんて貴方しかいないわよね。あの時も、ああ、あんたが死んだのかって思ったわ」
とはいえそれなりに前の話よ。アダムが死んだことで、氷冠女王、イデアが怒りにかられてまともな政治を行えなくなった、なんて事も聞いたわね。
「そうですか…。どうせなら、死んでからここに来るまでの間、舞台が暗転【ブラックアウト】していた時の事も話しましょうか?」
はなから見ればただの馬鹿馬鹿しい会話に見えるけれど、今こいつは恐ろしい事を言っている。
コンパスには死んだ後にデータとして取り込まれて来るヒーローも多いけれど、その死んだ後から、コンパスに来るまでのアダム=ユーリエフがどうなっていたかの話をしようとしている。流石に私が聞いていい話ではないわ。
「それはまた今度にしてちょうだい。後、明日からはそういう負の面は見せちゃダメよ?」
「分かってますよ」
「後…、スーサイドの前ではそんな顔も見せないことね。あの子も戸惑うわよ」
「ちょっと、どういう事ですか…!?」
そして、アダムに引き止められるのを無視してじゃあね、と言いながら扉を閉めて外に出た。
あいつ、結構鈍感なのかしら。
自分の瞳から涙が出ていることすら分からないなんて。
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りっちゃん(プロフ) - おもしろいです更新待ってます! (2018年2月24日 12時) (レス) id: f6bf2e6cd0 (このIDを非表示/違反報告)
サクラメント - ありがとうございます、まだ書きかけですが頑張ります (2017年10月16日 16時) (レス) id: a111f5c854 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 面白そうですね...!続き、待ってます!((o(。>ω<。)o))ワクワク (2017年10月15日 20時) (レス) id: 4077a40fbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サクラメント | 作成日時:2017年10月15日 7時