【A3】Actress (ページ10)

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Actress09 ページ10

晩御飯も食べ終わり天馬に案内されて部屋へ行く。
いづみさんのカレーはとても美味しかった。
みんなはもう飽きたーって感じだったけど・・・

さて、今から私は大変だ。
ここへ案内する天馬の顔が早く話を聞きたいと訴えかけているようだった。

天「ここが俺の部屋だ。」

案内されて部屋に入る。
天馬がそっと腰を下ろすので私もその向かいへ座る。

天「で？聞いてもいいのか？急に引退した理由と、戻ってきたのに、演技指導をする理由」
「うん、天馬には話さなきゃいけないと思うし、いつまでも隠してられないよね。
まず引退した理由なんだけど、NYに語学留学っていう事になってる。」
天「それは確信じゃなかったけど噂では聞いていた。」
「表向きはそうなってるけど実際の所、本場で学びたいと思って親についていったんだよねー。
自分の実力を試したかった、チャレンジしたかった。
でも結果、私は落ちこぼれ。周りに圧倒されて自分の演技も出来ない。
周りのみんなはライバル。周りを蹴落としてのぼっていく人ばっかり。
何回も演技でつぶされた。勝てっこなかった。それで演技なんて大嫌いになって、
家に籠ったの。少し落ち着いた頃に親がもう一度日本に戻ってみないか？
って言ってくれて、天鵞絨町に来たの」

天「・・・」

「戻ってきたは良いけど、やっぱりまだ演じるのに抵抗があるんだよね。
私なんかの演技が通用するわけない。私なんかが演技で人に感動を与えられるはずなんてない。
私なんか・・・」
天「私なんかがって言うんじゃねぇよ！！！」
「え？」

天「俺はあの時お前と共演して、お前の演技に憧れたんだ！
お前の感性にすげーと思ったし、俺だったら思いつかないことばっかりやってみせて。
すげー才能だって、次はどんなことをしてくれるんだって、
成長してこの先どんな演技をするのか、すげー憧れて、
それと同時にいつかお前を超えてやる。って思った。
なのに、ちょっとＮＹで思い通りにならなかったからって、今までの自分も全部否定なんかするな！」
「天馬・・・」

天馬がすごく真剣な顔で話してくれる。
掴まれた肩が痛い。それだけ真剣なんだ。
そっと頬に涙が伝う。

天「・・・っごめん。痛かったか」
「ううん、違うの。痛いじゃなくて、うれしい。私の事そんな風に思ってくれる人が2人もいて」

天「2人・・・？」