【A3】Actress (ページ9)

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Actress08 ページ9

入ってくるなりオレンジ髪の子に名前を呼ばれたけど、
私には思い当る人物がいない。
どうして私を知ってるの？
もしいづみさんみたいにテレビでの私を見ているならいきなり呼び捨てなんかしないだろうし、
学校の知り合いってもまだ私は転入もしていない。

い「天馬くん？知り合い？」
天「・・・Aだよな・・・？」

不安そうな顔でもう一度私の名前を呼ぶ声。
なんだろうどこか懐かしい。
天馬と呼ばれた彼。

・・・天馬。

あぁ、覚えている。昔子役時代に共演した。

「・・・てん、ま・・・？」
天「！！やっぱり！Aだよな！」

私が名前を呼ぶとパッと明るくなる顔。
そして私の前までやってくるとガシっと肩をつかまれる。

天「今までどこに行ってたんだよ、急に引退して。」
「ご、ごめん天馬。」
天「まぁいい。ここに来たって事はまたお前と芝居が出来るんだろ？」
「えっと・・・」
天「・・・？」

思わず黙り込んでしまう。
天馬のストレートな眼差しから目を背けてしまう。

い「天馬くん、そのことなんだけど、今から話すね」

いづみさんが遮ってくれて助かった。
でも隠せることでもない。

い「彼女は日下部Aさん。今日からここのお手伝いをしていただきます。
主に演技指導をしてもらいます。」
「日下部Aです。宜しくお願いします」

天「演技指導・・・？」
「・・・」

疑問をもつ天馬にかける言葉が見当たらない。

い「Aちゃんにも事情があるんだ。それはまた彼女が話せるときが来たらね。
えーっと、部屋なんだけど確か一つ空いてる部屋があるんだけどちょっと物置みたいに今なってるからー・・・」

いづみさんのおかげで助かった。
正直今はなんて言っていいかわからない。

い「んー1人部屋の人と相部屋にしてもらうか・・・」
幸「ねぇ、それなら俺がその部屋片付くまで三角星人の部屋に行くよ。ねぇ三角星人もそれでいい？」
三「いいよー」
幸「だからAはポンコツ役者の部屋使えばいいじゃん。知り合いみたいだし少しは気持ちも楽じゃない？」
「あ・・・ありがとうございます」
い「幸くんわざわざありがとうね」

幸くん？の気遣いはありがたいけど・・・
天馬の視線がいたくて、きっと部屋ですごい質問責めされるんだろうなー
と少し胃が痛くなった。