. ページ46
展示会場の廊下を九十九と九重が並んで歩く。
宮脇「今回警備する、グリーントルマリンはトルマリンの一種だそうです。
トルマリンはシンハラ語で「混ざり合った宝石」を意味する言葉を由来としています。
そして、「ない色はない」といわれるほど多彩な色合いを持つ宝石です。
レッドトルマリンには「ルベライト」、
ブルートルマリンには「インディゴライト」など、
色合いによって別々の名前がつけられています。
グリーントルマリンはやわらかな濃い緑色をしたトルマリンのことで、
その色合いは、鮮やかな緑であるほど価値が高いとされているそうです。」
岡田「……やけに詳しいな。」
宮脇「今時、調べたら全部出てきますよ。」
ほら、と九十九が自分のスマートフォンの画面を九重に向ける。
宮脇「ここに展示されるグリーントルマリンは、
グリーントルマリンの中で最大の輝きを持つそうですよ。」
岡田「それで狙う奴がいるかもってこと？」
宮脇「それだけじゃなくて、このグリーントルマリンはちょっと特殊なんです。」
岡田「ちょっと特殊？」
宮脇「はい。ビッグジュエルであるグリーントルマリンの中心部に
ペリドットの小さな石があるらしいんです。」
岡田「グリーントルマリンの中に、ペリドット？」
宮脇「つまり、宝石の中に別の宝石があるってことです。」
岡田「確かにそれなら希少価値は上がるかもな。」
宮脇「上がるなんてほどのことじゃないと思います。
多分、あのグリーントルマリンの価格は数字で表せないと思います。
今の所有者もこれほどかってお金を積んで手に入れたみたいですよ。」
岡田「だからこんなに人員を割いて警備してるのか。」
宮脇「みたいですね。」
星野「それだけじゃないらしいぞ。」
九十九と九重が声のする方に顔を向ける。
岡田「それだけじゃないってどういうことですか？志摩さん。」
星野「今回、あのビッグジュエルを盗むっていう犯行予告が来ているらしい。
しかもそれの送り主が海外では有名な強盗団らしい。
そんなことがない限り警察は動けないよ。
民間の警備会社には、全て断られてしまったんだそうだ。
なにしろ全戦全勝の強盗団らしいから。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杏奈 | 作成日時：2022年5月28日 13時
