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横浜「久しぶり、玲。何年ぶりかな？」
宮脇「5年くらいだと思います。
でもまさか、本当に凌くんだと思いませんでした。」
横浜「あんまり珍しい名前でもないし、人違いかと思った？」
九十九は俯き、ふー−っと長い息を吐いて答えた。
宮脇「人違いだと思ったし、そうあってほしかった。
私が知っている小倉凌は、優しい人だよ。
虫すらむやみに殺せないような...。
...........ねぇ、凌くん。どうしてあの頃から変わっちゃったの？」
横浜「もう、玲が知ってる俺じゃないよ。
この手で人を殺めてしまったから尚更。
でもね、それより前からおれは変わってるんだ。」
宮脇「何か、あったの？」
横浜「何か...か。しいて言うなら長年好きだった子に振られたかな。」
宮脇「それが、動機？」
横浜「そうだね。どうしても彼女を自分のものにしたかった。
彼女が他の男のものになることは耐えられなかったんだ。
空手家小倉凌が聞いて呆れるよ、あの頃は....。
あの頃はまだ、ちゃんとした人間だったのにな。」
宮脇「ねぇ、凌くん。私は、凌くんに憧れてた。
凌くんは私の目標だった。凌くんの強さと優しさが欲しかった。
ずっと、凌くんみたいになりたかったんだよ。
私の憧れが、そんな人だったなんて私が許さない。」
横浜「許されなくてもいいよ。それくらいのことをしたんだ。
でも最後に、玲だけには会いたかった。だからここに呼んだんだ。」
宮脇「どうして。」
横浜「だって、玲は僕の...。......いや、もうやめておこう。」
宮脇「何それ。すごく気になるんだけど。」
横浜「気にしなくていいよ。でも、玲は俺みたいになるなよ。」
宮脇「なりたくないし、なれないよ。」
横浜「それを聞いて安心したよ。
...だからもう、これだ終わりだ。」
小倉はそういうと、懐から出したナイフを自分の首に掲げた。
ナイフが小倉の首を搔き切る、その瞬間。
小倉の持っていたナイフが九十九の足によって払われた。
宮脇「私が、そんなこと許すわけないでしょう。」
横浜「......どうして。」
宮脇「凌くんは、これから生きて罪を償うの。
死んで贖うなんて、私が許さない。」
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作者名：杏奈 | 作成日時：2022年5月28日 13時
