サンジとイチジ ページ31
でも、海賊には勝てなかった。
“そうか。じゃあ…”
そう言って海賊は彼女の目の前で両親の心臓を撃ち抜いた。
即死だった。
人の死体を見るのは初めてだった。
しかも大好きでしょうがない両親の死体。
溢れ出てくる血を見て彼女は固まってしまった。
呼びかけても返事はない。
衝撃で戸惑い、動けなくなってしまった彼女の隙を突き
彼女を攫っていった。
村の人たちは銃声を聞き、
酒場に駆けつけるも、全員海賊に撃たれて死んでいった。
最後には村を燃やされた。
彼女の船出は私たちのように明るくなかった。
自暴自棄に陥っていた彼女をいいことに、
好き放題、彼らは遊んだという。
まだ幼い彼女の体を弄び尽くした。
彼女が大人になったとき、
自分達を思う存分楽しませられるようにすることが
その船の船長の目的だった。
彼女の綺麗な体に傷一つでもつけたら殺すと
船員が船長に言われるほどお気に召していたようだった。
牢屋に入れられて、身動きも取れず、
次第に心を失った。
笑うことも泣くこともなく、ただ人形のように過ごす日々。
それから3年。
8歳になった時、船内で戦闘が起きた。
憎き海賊は全員海の藻屑となったが、
彼女は生き残った。
敵の海賊が保護したからである。
そこの海賊は優しかった。
保護された当初、身包みのない彼女に、
服を作り着せた。
美味しい料理も提供した。
可愛らしい服を買ってあげたいと思った海賊達は、
彼女を連れて店に行った。
好きなものは何かと聞かれても
何も答えない彼女に
どれを着てもいいようにと店の服を全部買った。
毎日毎日服を彼女の目の前に並べて、どれが着たい？
と聞いた。
もちろん返答はないけれど、
日々を過ごしていくうちに、
目が動くようになった。
その目線の先の服を取って着せるようにしていたらしい。
料理を食べるときも、美味しそうな顔をするようになった。
優しい海賊に引き取られて3年
11歳になる頃には少し元気になっていた。
両親や村の人の死を胸に、
自分もみんなも守れる強い人間になる！
と誓い、海賊達に修行を頼み、鍛えていた。
強さを理由に驕ることなく、相手に敬意を持って警戒する。
そのことをモットーに毎日毎日修行に励んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 574人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Snow(プロフ) - くぁさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます！！この話を書いていた時、ちゃんと結ばれるか不安でしたが、なんとかかけました。安心してます笑笑。嬉しすぎるお言葉…本当にありがとうございます！更新も楽しみにお待ち下さり嬉しい限りです。本当にありがとうございました (2022年10月9日 6時) (
レス) id: 85dd9971f8 (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - 如月さん» 最後まで読んで頂きありがとうございます！コメントまで…涙。本当にありがとうございます。楽しんで頂けて、嬉しいです。嬉しすぎて家で叫びました…笑。近所迷惑になってないことを願っています笑。改めて、本当にありがとうございました！ (2022年10月9日 6時) (レス) id: 85dd9971f8 (このIDを非表示/違反報告)
くぁ(プロフ) - コメント失礼します。完結おめでとうございます！そしてお疲れさまでした！夢主ちゃんとサンジくんが無事結ばれてよかったです！末永くお幸せに〜！更新される度嬉しくてしょうがありませんでした。楽しみを作っていただきありがとうございました！ (2022年10月9日 0時) (レス) @page39 id: 00915e828e (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 完結おめでとうございます！！最高でした！ (2022年10月8日 21時) (レス) @page39 id: 4efb850e8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Snow | 作成日時：2022年9月19日 13時
