花火【綱海条介】 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:1,128 hit

オモエバページ8

思えば。
昨日やつれていたのは、喘息で体力を消耗したからじゃないのか。
昨日寝られないと言っていたのは、発作が怖くて横になるのが怖かったからじゃないのか。
午前3時なんて普通じゃない時刻に起きていたのも、喘息のせいだったんじゃないのか。
仲間になってすぐ、「マネージャーもやりたい」だなんて無茶な事を言っていたのは、選手として戦力外になる事を考えた絢なりの気遣いじゃないのか。
きっとそうだ。絢は、絢は…

「あんなにたくさん、ヘルプを出してたのによ…！！！」

咎める様に荒れた海を見詰めて、俺は泣いた。自分の不甲斐なさに。
勝手に好いておいて、これは無いだろう。
辛い。申し訳が立たない。
嫌だ。嫌だ。嫌だ……。
「綱海君」
「…吹雪…？」
吹雪が歩いてきた。
俺の隣に立ったまま、ノートの切れはしを渡してくる。
「これ、絢ちゃんが今いる病院の住所。綱海君、行って来てよ」
そのノートの切れはしを見て、俺は歩き出した。
絢と、話したい。
絢に、伝えたい。

####

「綱海君、絢ちゃんを、救って欲しいんだ」