花火【綱海条介】 (ページ3)

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イブキページ3

二日目

俺は朝がとりあえず早い。
『AM3:00』
このスマホの表示もいつも通りだ。
「ふぁあぁ……」
キャラバンを降りて、外の空気を吸った。
「ん？」
俺の真上にしゃぼん玉が一つ。
ふよふよと漂って、ぱちんと消えた。
キャラバンの屋根の上から飛んで来ている様子だ。
梯を上って見ると、そこには絢の後ろ姿があった。
くるっ
振り向いてにこりと笑む絢。
「綱海さん。おはようございます」
彼女の左手には小さな硝子瓶が握られていて、その中に半分程透明な液体が入れられていた。
絢が口にくわえている青い棒の先からは、ほんのり甘い香りのするしゃぼん玉が溢れている。
「あぁ、おはよう」
言ったきり会話は続かない。
ふっ…
絢の息吹に連動したしゃぼん玉。
まだ暗い空を舞い、暫くしたら儚く消える。
太陽と月が同じ空に見える幻想的な景色に、絢はとても良く似合っていた。
「私、朝ごはん作ってきますね」
「あぁ、分かった」
タッ
一気にキャラバンから飛び降りた絢。俺の方に軽く手を振って、駆け出した。
ちょっと大きめに手を振り返して、俺は笑った。

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「…瞳子監督」
「ええ、わかっているわ。貴女は…」