【scene8.】 ページ9
「だから、だよ。決まってんだろ」
「というと？」
あの、えと、という音が口から漏れるだけで、言葉を発することができなくなってしまった夜凪の代わりに黒山が口を挟んだ。すかさず月川はそちらを向いた。
「お前のいう通り、夜凪は今まで汚れ役をやったことがねえ。演技の幅を広げるなら、色んな役をやっておいた方がいい。まさか天下の月川さまがそんなことがわからなかった訳じゃないだろ？」
黒山は、なおも台本を読みながら、月川のほうに一瞥もくれずに彼女を煽った。しかしAはそんな挑発に乗るほど子供ではない。ちょっと目を閉じ、やれやれ、と言ったようにあきれたような短いため息をはぁ、とついた。
「わかってるよ。それを私は夜凪さんの口から聞きたかっただけよ。ごめんね夜凪さんまた怖がらせちゃって。冗談冗談！なかよくやろー？」
瞬きを一度した直後あたりから、人が変わったかのように、Aの周りはぴりりとした空気から明るく朗らかな空気に一変した。
"これ"だ。夜凪は直感した。
＊＊
「ねえ黒山さん、私目がおかしくなったのかしら」
「ああ」
「即答？」
初めての顔合わせの直後。本来ならそのまま台本読みでもするかぁ、といった流れだったのだが、生憎Aに急な仕事が入ってしまったらしく、あの後すぐに行ってしまった。そこで夜凪はAの人気ぶりを思い知った。
「アイツと顔を合わせた役者は必ずそう言うんだよ。じゃあ夜凪、お前、なにが見えた。言ってみろ」
夜凪はさっきのAを鮮明に思い出そうと、ゆっくり目を閉じた。そのまま深呼吸を何度か。
「......色」
「そうだ」
目を瞑ったまま、こてんと首をかしげる。
「変な表現しかできないわ。なんていうか...Aちゃんの周りの空気...っていうのかしら。色が変わるの。それこそ、喜怒哀楽と一緒に...。何いってるのかしら」
自分でも何を言ってるのか分からなくなってきて、夜凪は眉をひそめて目を開けた。てっきり黒川に(何いってんだこいつ)と言われるかそういう顔をされているかのどちらかだと思ったが、どちらでもなかった。
ニヤついていた。違うなこれは語弊がある。笑っていた。
「それでいいんだよ。夜凪、お前はそれを盗め。それが今回俺がお前にこの仕事を持ってきた理由だ」
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レイン様(プロフ) - 復活、待ってます。 (2020年8月21日 13時) (
レス) id: 4db45bcbc3 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - ひぇぇ、有難うございます。桜みさき様の御期待に添える様、これからもすごくすごい(?)文章を書いていく所存ですので、見守ってくだされば幸いです! (2019年10月14日 16時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
桜みさき@低浮上(プロフ) - 鳥の子さん» 余談ですが、ここで言うのもなんですが、鳥の子さんのお話も読ませていただいています！鳥の子さんも、この寒暖差ですから、お体に気をつけてください。今回は本当にありがとうございました！ (2019年10月14日 16時) (レス) id: 94acc03127 (このIDを非表示/違反報告)
桜みさき@低浮上(プロフ) - 鳥の子さん» さっそくの評価、コメント、ましてお気に入り登録までありがとうございます；；たくさん褒めていただいて、少し安心しました。アドバイスもありがとうございます！空白のことはあまり気にしたことがなかったので、参考にさせていただきます。 (2019年10月14日 16時) (レス) id: 94acc03127 (このIDを非表示/違反報告)
鳥の子(プロフ) - これからもお体に気を付けて、更新頑張ってくださいね! (2019年10月14日 15時) (レス) id: fababa1230 (このIDを非表示/違反報告)
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