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「…あのさA、そろそろ聞いてもいい?」
『ん?サプライズの意味を聞きてぇ?』
「うん」
話の区切りが良いところで、とうとう悟は話を切り出した。
Aは照れ臭そうに自分の頬を指で掻きながら視線を逸らし、そのまま夕日をキラキラ反射させる海面へと移す。
しかしそんな表情や仕草からは想像付く筈もない驚愕の内容を語られるのであった。
『俺に特級昇級の推薦が来てたのは多分知ってるよな』
「窓や大人達が噂してたのを小耳に挟んだ程度にはね。結果は知らないけども」
『それさ、俺断ったんだよ』
「…へ!?」
あまりにも衝撃的過ぎる内容に悟の声が裏返る。
特級術師は傑を含めると三人しか居ない呪術師の最高位の階級。
そんな階級への昇級を断るなんて前代未聞だし、そもそもAが特級を目指していたのを悟は知っていたのだから驚くのも無理はない。
『だって傑が失踪したタイミングでの推挙だぜ?俺の実力が認められたからじゃなくて、空席を埋めようって魂胆が丸見えだろ。人数合わせに利用されるみてぇで癪だったからな』
「そんな事ない!俺とほぼ互角まで渡り合えた生徒はAくらいだよ。交流会での事は多くの術師がAに注目してたし、今も急速に成長を続けてるって東京まで話を聞くんだから!」
Aの語る話は確証は無くあくまで憶測。
しかし確証が無いからこそ100%有り得ないとも言えないのも事実。
有力な術師を失い状況を立て直す為に頼ってるとも取れるし、ただ穴を埋めるのに利用したかったとも取れるのだ。
『っはは、悟にそう言われるのは嬉しいな。けどこれは俺が捻くれててそう思っただけで、大人達を納得させるに至った主な理由は二つあるんだ』
「な、何?」
『一つ、俺が特級術師になったらウチの連中が天狗になりやがる。二つ、御三家と宮古院家とのパワーバランスが崩れる』
指を一、二と立てながら説明を始めた。
まず大前提として、宮古院家はAが2級から昇級する事をあまり望んではいなかった。
表では宮古院家の名を上げる為にAの実力を誇示し、裏では虐待紛いな厳しい教育を尽くしていた。
Aが任務を遂行すれば自尊心が満たされ、失敗すれば八つ当たりの道具へ。
特に酷いのは失敗した時だ。
初代当主・輝継は双眸とも持っていた【流星眼】を片眸しか持っていない欠陥品だと。
五条悟を天秤に掛け、全てにおいて劣っている家の恥だと。
人格を否定する言葉ばかりを吐き続けていたのだ。
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晩鶴紫呉(プロフ) - いえいえ!むしろ私が忘れてました (2021年4月1日 17時) (レス) id: 9a7d0082b8 (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» 現在は0巻のストーリーをコツコツ書き進めております!0巻が終わったら原作編に行きますので、もう暫しお待ちください!……なるべく早く再開したいです!リアルが忙しくて時間が取れず恨めしい(苦笑) (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» わぁ!!お返事が遅くなってしまい申し訳ありません!!そして当小説をとても好いてくださる気持ちがたっぷり伝わる温かいコメントをありがとうございます!!(嬉泣)自分は男主は攻めが好物なので逆に攻めの夢主しか書けないんですw喜んで頂けて嬉しいです!! (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - あ、でも本当に無理しないでくださいね。神作者様...というか推作者様を無理させてしまうのは望んでいないので!あくと様のお好きなように書いていただければ自分は満足です...! (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - 最強さん攻めが多いのでうれしいです!いろんな感情たかぶらせながら何回も読んでます笑続き楽しみです。無理しない程度でいいので更新頑張ってください!呪の器さんが登場する原作偏も読みたいです。楽しみカ楽しみがありすぎて逆に辛いっ...笑 (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あくと | 作成日時:2021年1月28日 20時