〃 ページ38
自分とは違うくすんだ灰色の髪に黒い眼帯。
京都に居る筈のAがそこに居た。
『お、悟。一年以上振りだな』
「A…え、どゆこと?何で東京に…ってか、バイク?」
悟が驚いている理由。それはAが目の前に居る事に加え、バイク腰掛けているその姿が様になっているからだった。
格好いいと思いつつ疑問を抱かずにはいられない。
『言うなればサプライズだな。詳しい話は後で。ホイ』
「サプ…?わっ」
宙に浮き自分の胸元に着地したソレはヘルメットだった。
よくよく見ればAのバイクは二人乗り出来るタイプのものだと気付く。
『行きたいところあるんだが付いてきてくれるか?』
「ん"ん"っ…勿論ついて行くぅ…」
一年以上振りの本物のAを前に耐性が薄れているのがわかり熱い顔を隠すようにヘルメットを被り、促された後ろ座席に腰を下ろす。
『しっかりくっついとけよ』
「ハッ…Aにお触りし放題」
『擽ったいと事故るからやめろよな!』
なんて冗談を交わしながら悟はAにくっつき恐る恐る腹に腕を回す。
「(はーーー腹筋凄い。背中も逞しい…任務がハードだったのに加えてこの一年鍛えてたのかな。どうしよう惚れ直しちゃう)」
『(ん"ー"悟の腕が俺の腹にぃぃッ、というか背中に悟が引っ付いてる!!任務の合間にバイク免許取っておいて良かった!!)』
各々心の中に嵐を抱えながら、しかしAは集中してバイクを操縦する。
郊外の山を出て東京の街並みを進み、信号が赤になった時に3、4言交わす。
それを幾度か繰り返すと磯の香りが鼻を掠めた。
「(!此処は…)」
しがみつく腕に加えて無意識にAの服をキュッと握り締めた。
水面を反射しながら更に空をオレンジに染める夕焼けの海。
駐車場でバイクを止めたAに手招きされるがまま悟はついて行った。
『此処、覚えてるか?』
「当たり前じゃん。俺とAと硝子と…傑と四人で初めて遊んだ海」
『そうそう。あんなに眩しくて暑かった海もこの季節だと潮風が肌寒いなぁ』
懐かしそうに語りながら歩き砂浜で座るA。
悟もその隣に座り海とAの横顔を交互に眺めた。
『今日で高専卒業だけどよ、実感ある?』
「んー無いね!」
『だよな〜』
クスクス笑いながらお互いの近況を語り合う。
今日を始め先週、今月、先月…と会えなかった時の事を沢山話した。
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晩鶴紫呉(プロフ) - いえいえ!むしろ私が忘れてました (2021年4月1日 17時) (レス) id: 9a7d0082b8 (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» 現在は0巻のストーリーをコツコツ書き進めております!0巻が終わったら原作編に行きますので、もう暫しお待ちください!……なるべく早く再開したいです!リアルが忙しくて時間が取れず恨めしい(苦笑) (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» わぁ!!お返事が遅くなってしまい申し訳ありません!!そして当小説をとても好いてくださる気持ちがたっぷり伝わる温かいコメントをありがとうございます!!(嬉泣)自分は男主は攻めが好物なので逆に攻めの夢主しか書けないんですw喜んで頂けて嬉しいです!! (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - あ、でも本当に無理しないでくださいね。神作者様...というか推作者様を無理させてしまうのは望んでいないので!あくと様のお好きなように書いていただければ自分は満足です...! (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - 最強さん攻めが多いのでうれしいです!いろんな感情たかぶらせながら何回も読んでます笑続き楽しみです。無理しない程度でいいので更新頑張ってください!呪の器さんが登場する原作偏も読みたいです。楽しみカ楽しみがありすぎて逆に辛いっ...笑 (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あくと | 作成日時:2021年1月28日 20時