〃 ページ35
〜〜♪
どのくらい同じ態勢のまま回らない頭を抱えていたのだろうか。
携帯の着信音で我に返った頃には窓から差し込む光はオレンジ色に染まっていた。
ポケットから取り出した携帯を開き画面を開くと「悟」の文字。
『(そっか…悟の方が困惑してるだろうな)』
同期で男同士で特級同士。バカ騒ぎしている二人を見ると正に親友の二文字が浮かんだ。
そんな相棒のような存在を失った悟は今どんな心境なんだろうか。
Aは通話ボタンを押し自分の耳に押し当てた。
『もしもし』
《…久し振り、だね》
『あぁ。そうだな』
《…その様子だと聞いた?傑の事》
『…聞いた』
《そっか》
久し振りに悟の声が聞けて嬉しいのだがお互い素直に喜べなかった。
二人にいつものような活気は無い。
影を含んだ声で、ポツポツと言葉を交わしていた。
《あのさ、A。俺さっき傑に会ったんだよね》
『そうなのか』
《呪術師だけの世界を作るって。大義だって。バカだよねアイツ、何考えてんだろう》
『!!』
( Aはさ、呪術師だけの世界ってどう思う? )
最後に傑と電話した時の言葉を思い出す。
あの日以降傑からの連絡は無かった。
あの時からこうなる事を視野に入れていたのだろうかと、今となっては確かめようが無い疑問が浮かぶ。しかし…
『…ごめん、悟…俺のせいかも知れない…』
《どういう事…?》
『呪術師だけの世界って話、前に傑から聞いた事がある。俺は肯定も否定もしなかったけどもしかしたら…"肯定"と捉えた、のかも…知れない』
"お前達の居ない天国より、お前達の居る地獄に堕ちたい。"
その言葉に偽りは無くAの本心だ。
しかし"お前達の居る地獄"を「呪術師だけの世界」と受け取ったとしたら…そう考えると罪悪感が押し寄せた。
悟の大切な相棒を奪ったのは―――自分ではないか、と。
《…それは多分、少し違うと思う》
『庇わなくていい…恨んでくれて構わないッ。俺のせいで傑が…』
《A!違うから、よく聞いて》
『……』
《アイツの性格上、もしAの言葉を「自分の考えに同調してくれた」と捉えたなら、きっとAも一緒に連れ出してた。そういう奴なんだ》
『…でも俺は、傑に会ってない』
《だからさ、参考にはしたかも知れないけど"決定打"では無かったと思う》
『……』
応えられなくて沈黙が流れてしまう。
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晩鶴紫呉(プロフ) - いえいえ!むしろ私が忘れてました (2021年4月1日 17時) (レス) id: 9a7d0082b8 (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» 現在は0巻のストーリーをコツコツ書き進めております!0巻が終わったら原作編に行きますので、もう暫しお待ちください!……なるべく早く再開したいです!リアルが忙しくて時間が取れず恨めしい(苦笑) (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
あくと(プロフ) - らっこさん» わぁ!!お返事が遅くなってしまい申し訳ありません!!そして当小説をとても好いてくださる気持ちがたっぷり伝わる温かいコメントをありがとうございます!!(嬉泣)自分は男主は攻めが好物なので逆に攻めの夢主しか書けないんですw喜んで頂けて嬉しいです!! (2021年3月17日 20時) (レス) id: 9b51245cfc (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - あ、でも本当に無理しないでくださいね。神作者様...というか推作者様を無理させてしまうのは望んでいないので!あくと様のお好きなように書いていただければ自分は満足です...! (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
らっこ(プロフ) - 最強さん攻めが多いのでうれしいです!いろんな感情たかぶらせながら何回も読んでます笑続き楽しみです。無理しない程度でいいので更新頑張ってください!呪の器さんが登場する原作偏も読みたいです。楽しみカ楽しみがありすぎて逆に辛いっ...笑 (2021年3月11日 22時) (レス) id: b2f3d77b53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あくと | 作成日時:2021年1月28日 20時